産業再生機構とスポンサー企業のアドバンテッジパートナーズと丸紅<8002>との支援下で経営再建中のダイエー<8263>は、林文子・会長兼CEO(最高経営責任者)と樋口泰行・社長兼COO(最高執行責任者)の新体制がスタートして約3カ月が経過したが、これまで不採算店舗や遊休不動産の売却など財務改善が主体となっていた経営から、再生事業のカギとなる中核事業のてこ入れ策が始動し始め、攻めの経営段階へと移行している。相次いで実施する改善策が果たして実を結ぶか、新生ダイエーの打ち出す施策の確実な成果が求められるようだ。
 
  ダイエーは30日、事業再生の中核となる食品部門のてこ入れとして、生鮮食料品部門で青果の鮮度改善策を来月1日から実施すると発表した。過去の収益力低迷の要因となっていた客離れを改善させるために、消費者の最もニーズの高い食品鮮度に焦点を当て、仕入れから商品提供までの流れのなかで、時間の短縮と質の向上を追及した。

  具体的には、野菜取り扱いのあるグループ387店が対象となり、バイヤーの人員数を従来の38人から47人へ増員するほか、横浜や名古屋、長崎、鹿児島など新たに11カ所の市場に駐在バイヤーを設置し、商品の入りの面で、商品鮮度への目利きを高める。また、バイヤーは農家の開拓を行うことで、地域市場からの調達率を現行の20%から50%へと引き上げる。流通面では、商品の店着を1日短縮させるほか、要冷配送を90%に高め、鮮度管理を充実。商品提供の際にも、「適量陳列」や「多頻度補充」を実践するため、全店の青果部門で約20%の人員を増強、また、「鮮度パトロール」も導入し、鮮度への配慮を徹底させる。これによって、青果部門の客数の前年比10%増や、SSPショップ会員の未購買率を現行の23.5%から15%へと引き下げ、コア事業の客足を高めることで、他の商品への波及効果を狙う。

  一方、仕入条件改善を目指し、これまでの取引先から業界最大手の国分や菱食<7451>に切り替えることを明らかにした。10月末をメドに全面的に移管する予定で、オペレーションを集約化させることで、調達コストの改善を目指す。また、将来的に物流の再編も視野に入れているという。

  同社は今年5月下旬の新体制発足後、負債の圧縮などに追われていた一方で、6月には「青果鮮度改善プロジェクト」を、7月には「店舗改造プロジェクト」を相次いで立ち上げ、課題の洗い出しと改善策を検討、経営の軸足を守りから攻めへと移して来た。来月からは、主力の食品事業を強化するほか、同月末にはダイエー千里中央店を改装オープンするのを皮切りに、2005年度中に約30店舗の改装を行う計画。さらに10月をメドに食品仕入れ体制も変更する。客離れの大きな要因とみられていた商品力と外装面に手を加えるほか、仕入れ体制など事業効率化を図り、従来の経営にメスを入れる大胆な見直しを着々と進めるが、7月までに記録した17カ月連続という既存店売上の前年割れに歯止めを掛けられるかは、新生ダイエーの軌道修正の成否として今後注目される。 【了】