深夜のサン・シーロ周辺は、試合終了から数時間がたってもまだざわついていた。 あたりにはパニーノを売るスタンドがずらりと並んでいる。今日の売り上げを数えるのが楽しみで仕方ないという顔のパニーノ屋の親父が、せっせと後片付けをしていた。 その前の地面に、涙で頬を濡らしたアトレティコ・マドリーのサポーターが肩を落として座っている。呆然とした彼らを包むのは、ライバルの歓喜の歌声だ。 そん