『新幹線の刺青』を入れた女
愛とラーメンの街、新横浜。
ラブホテルがやたら多く、ラーメン博物館があるこの街で、彼女と出会った。

「笑わんといてや」彼女がそう言った理由は、ホテルに入ってすぐ分かった。


その刺青を見た瞬間、俺は爆笑した。こんな新幹線に乗るのは初めてだ。

「もー、笑うなって言うたやん」と怒る彼女。
「わるいわるい、でも何で新幹線なんや?」

「もう1年前になるかなあ」彼女は語り始めた。

「あんたに似た左側の男が前の夫でヤクザやったわ」


「子どもが生まれたけど、離婚したときに夫が連れていきよった」


「その日は東京の増上寺で、大掛かりな映画の撮影をやってた日でよく覚えてるわ」
「その時期と規模なら、たぶん映画『ウルヴァリン-SAMURAI-』の撮影やな。400名以上で撮影してたらしい」

「そうなんや。それで、離婚した後は生活が苦しくて、昼はパチンコ、夜はキャバクラで過ごしたわ。一人でアパートに帰ると寂しくてな」


「でもこの刺青をしたら、キャバクラで人気でたなあ。男は乗り物が好きやろ」
「じゃあその刺青は商売道具みたいなもんか」


「アホか。別れた子が電車が好きな子で、よく私の背中で新幹線を走らせて遊んでたんや。刺青してると、今でもその子と遊んでる気がするんや」






「なんか…、笑って悪かったな」
「ええんよ、好きでやったんやし」
「しかしそれやと、ヤクザと思われて銭湯も入れへんやろ?」

「なじみの銭湯では、新幹線やから芸人と思われてるみたい。『あ、新幹線のオネーチャンや』って言われて、子どもらとよく遊んでるわ」


「自分の子どもには会えそうなんか?」
「子どもは誰でもカワイイわ」

そう言うと彼女は、帰り支度を始めた。
新横浜駅から実家の長崎に帰るという。
新幹線に新幹線が乗って、2倍速で彼女は去っていった。


その日はなぜか、新幹線でヤクザと爪の長い外人が喧嘩してたのでよく覚えている。

今でもたまに「新幹線女」で検索してみるけど、それから彼女を見かけた事は無い。

…そんな刺青をした女性が、日本のどこかにいるかもしれない。

そう思ったのは、本日1月8日(水)にブルーレイ&DVDがリリースされる映画『ウルヴァリン-SAMURAI-』を見た事がきっかけだ。アメコミ原作の映画『X-MEN』から誕生した「ウルヴァリン」シリーズの本作の舞台は、ここ日本だ。

先ほどの「新幹線女」は、この映画に出てくる新幹線、東京タワー、増上寺、ラブホテル、パチンコ、ヤクザ、和服などの要素を盛り込んで作ってみたものだ。

DNAの突然変異により超人的なパワーを持つ“進化した人類=ミュータント”X-MENの最強の戦士、ウルヴァリン(H・ジャックマン)が主人公の本作では、ハリウッドから見た様々な日本が登場する。

特に新幹線の上でヤクザが襲ってくる格闘シーンは、邦画でも見たことがないスピード感と迫力だ。


さらに日本刀はもちろん、弓矢や忍者軍団、甲冑まで登場する。


映画では、ウルヴァリンの武器である地球最強の爪を相手に、シンゲン役の真田広之が日本刀で挑む。




そして舞台は、キャバクラも多い新宿駅の雑踏から、秋葉原、広島・福山の鞆の浦へと様々に移り変わる。

ハリウッドが描く、近代化が進む都心と伝統的な日本家屋、新旧が混在した“SAURAIの国”は、日本人の目から見ても異国情緒に満ち溢れていて楽しめる。

また、ウルヴァリンと恋に落ちるマリコ(TAO)の、凛とした美しさにも注目だ。


漆黒の喪服姿と、カジュアルな服装のどちらも美しい。


ちなみに今回、新幹線女を演じたKONANさんの服装もマリコをモチーフにしている。


一方、もう一人のヒロイン“赤いパッツン”ユキオ役の福島リラは持ち前の格闘技経験を活かし、『キル・ビル』の栗山千明を彷彿とさせる存在感を光らせ、剣術や棒術など見事なアクションを披露している。また、格闘シーンでは真田広之の二刀流にも注目だ。


今回、不死身のウルヴァリンは、初めて「死の恐怖」に襲われる。罠にはまって治癒能力を失い、初めて“限りある命”を意識することに。拉致されたマリコの救出に向かった満身創痍のウルヴァリンは、遂に日本でその命を落とすのか…。

遠い異国の地で無力と化したウルヴァリンは初めて、平凡な人間として安らかな死を迎えるか、孤高のヒーローとして戦いに明け暮れるか、選択を迫られる。限りある人生の価値を、あなたは何に見出すのだろうか…?

本日1月8日(水)にブルーレイ&DVDがリリースされる映画『ウルヴァリン-SAMURAI-』を詳しく知るには、まず次の特集サイトをチェックして欲しい。
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■関連リンク
『ウルヴァリン-SAMURAI-』特集サイト

映画公式サイト



※記事出演:KONAN、地主恵亮、飯淵隆輔、阿部親子 ボディペイント:ちょうひかる 撮影:松葉理 衣装:市原昌顕 ヘアメイク:山崎眞衣 企画・文章:谷口マサト