イチローとヤンキースの契約交渉が、ほぼクロージング段階に来ているようです。
ちょっと驚いたのは、現地メディアの報道によると契約期間が当初予想された1年ではなく2年である可能性が高そうだということです。

1年契約との予想が専らだった理由としては、現在39歳の選手に複数年契約を提示すること自体が稀であること、そして以前このブログでも紹介したとおりヤンキースは2014年に贅沢税を回避することにやっきになっていたことが挙げられます。

この原稿を書いている段階では金額はまだ明らかになっていませんが、2年契約である分1年あたりの金額は、当初予想の500~600万ドルよりかなり抑えられているのではないでしょうか。
ひょっとすると、イチロー側が単年金額を下げその分複数年契約を持ちだしたのかもしれません。
ヤンキースは「2014年問題」を抱えていることはイチロー側も十分認識しているところですから、そこをうまく突いて「痛くも痒くもない安い2014年の年俸」をツールとして複数年契約を引き出した、というのは十分あり得るシナリオでしょう(あくまで詳細が明らかになっていない段階での勘繰りです。理由が異なっていたり、実は年俸が結構高かったりしたらゴメンナサイ)。
いずれにせよ2年契約なら、あと394本に迫っているメジャー通算3000本安打を、ピンストライプを着て達成する可能性も出てきた、と言って良いでしょう。

果たして来季、イチローはどの程度活躍できるでしょうか?
今季7月にヤンキースに移籍した後は、打率.322、OPS.794と復活したことから、来季もその再現を期待する向きもある半面、39歳という年齢から基本的に過去2年の平均値(打率.277、OPS.670)を若干下回る数字に落ち着くとの見方もあります。

この点を検討するに当たり、忘れてはならないことがあります。
それは、イチローは「ヤンキース移籍後に復調したのではなく、ヤンキースタジアムで良く打った」ということです。
実際、ヤンキース移籍後のイチローはプレーオフも含めるとヤンキースタジアムではOPS.913を記録していますが、アウエイでは同.636と移籍前(.642)と選ぶところがないのです。
この数字を見ると、巷で言われるような「ヤンキース愛」だけではない、イチローがヤンキース残留を望んだ理由の一端が見えるような気がします。
果たしてこれは「たまたま」だったのか、それとも本質的に左打者有利のヤンキースタジアムのなせる技だったのでしょうか。
なお、イチローは移籍後に6本塁打(プレーオフを含む)を打っていますが、それらは全てヤンキースタジアムでのものです。