熊のような巨体でありながら、実にかいがいしい話である。

そう考えると、欧米人男性のどこかが「男らしい」のだと言いたくなる。

彼らは日本人男性より堂々としているから、奥様に愛情をアピールできるのではなく、単純に奥様のことが怖いから、つまり奥様のご機嫌をとるために甘い台詞を口にするところがある。

仕事よりも奥様を優先することが多いのもそうだ。

欧米は家族(奥様)に対する忠誠心が常に問われる社会であるため、家族(奥様)をないがしろにする男性は社会的な批判を浴びやすい。

つまり、家族(奥様)中心主義の背景には、そういった社会的批判に対する恐怖があるということであり、その意味で欧米人男性ははなはだ気弱だと思う。

しかし、これはよく考えれば日本人男性も同じことなのだ。

日本では家族よりも仕事を優先することが美徳とされる傾向があり、仕事もしないで家族とばかり過ごしている男性は仕事先で叩かれるどこか、社会的な批判にもさらされる。

日本人男性だって、そういう逆風が怖いから仕事を優先している道理はあるはずだ。

要するに、本来自由であるべき自分の行動が、なんらかの恐怖感によって束縛、あるいはコントロールされているという点では、日本人も欧米人も一緒なのだ。

だから双方の間に、奥様に対する愛情の度合いや人間的度量といった優劣の問題は存在しない。

だいたい欧米はあれだけ家族(奥様)中心社会でありながら、日本よりもはるかに離婚率が高く、離婚調停も多いのだ。

それを考えると、あの欧米人特有の奥様への愛情アピールも素直に受け止められなくなる。

彼らはいったい何に怯えているのだろうか。