ヤンキース、大物助っ人の運命|2012MLBペナントレース
イチローは今日、移動日。感動的なシアトル・マリナーズ=SEAとの離別を経て、明日からのボストン・レッドソックス=BOSとの対戦に備えている。先発が予定されるクックは右投手だから、イチローはスターティングメンバーに名を連ねるのではないか。
ニューヨーク・ヤンキース=NYYは他球団の大物選手を引き抜いてきて、一時的な穴埋めに使うことがしばしばある。ベテランを休ませるとか、アクシデントに備えるとか、いろいろな目的がある。いずれにしても贅沢な使い方だ。
ここ10年間で、NYYが単年契約で獲得した大物選手(通算1000安打以上または100本塁打以上)。
2003年のアーロン・ブーンは、SEAで活躍したブレット・ブーンの弟。7月31日にシンシナティ・レッズから移籍。リーグチャンピオンシップではサヨナラ本塁打を打った。NYYは引き続いて契約する予定だったが、オフにバスケットボールをしていて左靭帯断裂。即契約解除された。このケースは特殊だろう。
2004年には、イチローのチームメイトで、首位打者もとったジョン・オルルードが同じく7月のトレード期限前に移籍。まずまずの数字をあげたが、翌年の契約はならなかった。
イチローがSEAに入団時、よく比較された盗塁王のケニー・ロフトン(今年から殿堂入り被選挙資格を得る)もプレイしている。
2005年にはティノ・マルチネスがNYYに出戻り。この年は、バーニー・ウィリアムズがレギュラーだった最後の年だが、ここから2年、大物助っ人は入れていない。
2008年、ホセ・モリーナの打力をカバーするためにイヴァン・ロドリゲスを獲得。イチロー以上の大物と言えよう。また、イチローと折り合いが悪いとされたチームメイトのリッチー・セクソンもトレード期限前にNYYに加入している。
2009年以降も他チームのレギュラークラスを獲得している。しかし、2年目の契約ができた選手は皆無だった。成績の問題もあるが、ベテランを居座らせるくらいなら、若手を登用したいと言う考えだろう。
しかし2011年のアンドリュー・ジョーンズとエリック・チャべスはともに単年契約だったが、2年目も契約がつながった。お買い得価格だったこともあろうが、若手の伸び悩みで、ベテランを入れておく方がまし、との判断が働いたのかもしれない。
2012年は、フィラデルフィア・フィリーズからラウル・イバニェス、そしてトレード期限前にイチローを獲得している。
我々は、イチローの移籍を大きなニュースとして受け止めたが、NYYにしてみれば、ごく普通のビジネスなのだ。
SEAから入団したオルルード、セクソンは、契約最終年のシーズン途中、フラッグシップディールで入団し、残るシーズンを働いていると言う点で、イチローと全く同じケースだ。
イチローが控えに甘んじ、10分の1以下の年俸も甘受するなら、契約延長もありうるかもしれないが、イチローが来年以降もNYYにとどまる可能性は極めて低いのではないか。