7月18日、税と社会保障の一体改革関連8法案が参議院で実質的な審議に入ったが、依然として若者世代には社会保障に対する不安が蔓延している。

その原因は、「払った額より受け取れる額のほうが少ないのでは」という疑問だ。社会保障の基本となるのは年金と医療保険、介護保険の3要素。厚生労働省のキャリア官僚、F氏がその合計の支払い額と受給額の差し引きを合計し、世代別の損得金額を試算してみたところ、驚くべき結果が出たという。試算のモデルケースは、厚生年金に40年加入した平均的収入のサラリーマン男性。専業主婦の女性と結婚し、平均寿命まで生きて平均的な医療を受けたという想定だ。

●昭和15年生まれの男性……約5000万円の得

●昭和30年生まれの男性……約1000万円の得

●昭和45年生まれの男性……約800万円の損

●昭和60年生まれの男性……約2500万円の損

●平成15年生まれの男性……約3500万円の損

●来年(平成25年)に生まれる赤ちゃん……約5000万円の損

受取額は今後の出生率や景気状況にも影響されるので一概には言えないが、試算上は昭和45年生まれから損が上回り、これから生まれる赤ちゃんに至っては生まれた瞬間に5000万円の借金を抱えるという結果に。

「自民党だろうが民主党だろうが、現行の社会保障制度が存続する限り、若者世代にとっては悲劇しか待っていませんよ」(F氏)

今の制度をいったんリセットし、抜本的な制度改革を行なわなければ、トンデモないツケが若者に背負わされることになる。

(取材・文/菅沼 慶)