中国では、公共の場所にある「洋式便器」に腰をかけることを嫌がる人が多い。女性を対称にインターネットでアンケートを実施したところ、9割以上が、公共の場所のトイレには「しゃがみ式」便器を設置してほしいと回答した。中国新聞社が報じた。

 中国では3月8日が「婦女節(女性の日)」である関係で、このところ女性の話題を紹介する記事が増加している。

 女性を対象に、公衆便所など公共の場所に設置するトイレについてアンケートを実施したところ、回答者1万1253人中、91.78%に相当する1万328人が「しゃがみ式」の便器を設置すべきと回答した。「腰かけ式」を望む人は8.22%に相当する925人だった。

 「洋式便器」の上にしゃがんで用を足す人も多い。比較的高級なホテルの従業員によると「トイレは24時間体制で清掃しているが、便器の上にしゃがんで使用する人が多い」という。清掃の際には便座に残された足跡を丹念にぬぐわなければならないという。

 ホテルを利用した際、トイレで「赤っ恥をかいてしまいました」という女性もいる。「腰かけ式の便器の上にまたがって用を足そうとしたら、便座が砕けて、転げ落ちてしまいました」、「便座の破片が尻に刺さってけがをした上、弁償されられました」という。

 実際に、公共の場所に設置された「腰かけ式便器」を見ると、靴などでつけられた傷が多くついている場合が多い。またそのことで、衛生面でさらに問題が出るという悪循環も発生している。

 河南省の鄭州市第三人民医院(病院)皮膚科の医師によると、腰かけ式便器に、各種疾病に感染するリスクがあるのは事実だ。皮膚病としては、疥癬(かいせん)、毛嚢炎、たむしなどに感染する可能性があるが、実際の感染例として最も多いのは淋(りん)病という。

 感染リスクがあるのは男性も同じ。特に尻や太ももなどに傷口がある人は、使用を避けるべきという。

**********

◆解説◆ 中国の「しゃがみ式」便器は、日本で多く見られる前部の遮蔽(しゃへい)物(通称・金かくし)がないものが多い。そのため、慣れないと前後の判別に苦しむ場合がある。

 日本では、便所の“個室”で奥側に向かってしゃがむよう、便器が配置されている場合が多い。中国では逆に、ドア向きにしゃがむよう便器がすえつけられている場合が一般的だ。

 中国ではドアや仕切りのないトイレが多かった。用を足す際には、通路側を向いてしゃがんだ。都市部を中心に、公衆便所などでも「ドアと壁がある個室式トイレ」が主流になりつつあるが、かつての習慣の影響でドア側を向いてしゃがむことが通例になっていると考えられる。(編集担当:如月隼人)