関西お笑い界が揺れに揺れている。
 初期の食道ガンのため芸能活動を長期休業することを発表したやしきたかじんの後釜に島田紳助の名前が急浮上しているのだ。

 現在、たかじんが司会を務める冠番組は『たかじんNOマネー』(テレビ大阪)『たかじん胸いっぱい』(関西テレビ)『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)の3本。“ナニワの視聴率男”と呼ばれているわりには、少々レギュラー番組が少ない気がする。
 「たかじんが凄いのは自分がやりたい番組しかやらないこと。しかも、視聴率・人気とも絶大。“ナニワの視聴率男”と呼ばれる、たかじんの関西圏での潜在視聴率は14%以上です。明石家さんまやタモリも、関西では彼の足元にも及びません」(フリーの放送作家)

 たかじんの抱えるレギュラー3番組だが、今後も本人不在で継続されるという。関西お笑い界に、突如出現した巨大な真空地帯の代役を一体誰が埋めるのか。水面下で動いているのが吉本興業だ。
 「関西圏の番組で吉本所属の芸人が多数レギュラー番組を持つなか、吉本所属ではないたかじんは煙たい存在だった。当然、たかじんのレギュラーを吉本勢がここぞとばかりに取りにいく」(在阪テレビ局関係者)

 攻勢をかける吉本の中で、ある人物の名前が取り沙汰されている。
 「紳助ですよ」
 と声を潜めるのは在阪テレビ局の編成マン。そう、昨年8月に暴力団との交際を理由に芸能界を引退したはずの紳助が、関西圏で復帰するとの仰天情報が飛び交っているのだ。
 「吉本興業は本気です。なにしろ、紳助引退で被った損失は大きすぎる。紳助のレギュラー番組1本のギャラは推定300万円。さらに、紳助の番組には、吉本の芸人が大勢出演した。そのギャラの総額はバカになりません。また、吉本に企画料や番組協力費という名目の金も年間で5億円くらい入っていたそうです。すでに社内では復帰に向けたプロジェクトが動き始めている」(吉本事情通)

 もっとも、紳助の復帰を巡っては業界関係者の間では日本テレビ、フジテレビなど在京テレビ局が有力視されていた。それがなぜ、関西なのか。
 「スポンサーとお上の意向です。日テレとフジは視聴率でも民放の1、2位を占めている。それだけに影響力が大きい。ナショナルクライアント(大企業)を多数、抱える大手広告代理店から時期尚早で“絶対NG”を出されてしまった。また、警視庁や警察庁から暴力団排除条例を尊重して欲しいといった旨の話が内々にあったそうです」(民放テレビ局幹部)

 結果、影響力がまだ少ない本拠地の関西圏になったという。
 「吉本は紳助と抱き合わせで人気の芸人を多数仕込んでくる。加えて関西で絶大な権力を持った大阪・橋下市長と紳助が親しいのは心強い。大阪府警の目はありますが、背に腹は代えられない」(吉本関係者)

 漁夫の利となるか。