讀賣ファンの掲示板をたまたま見ていたら、日本ハムが菅野を指名した件に対し信じられないようなコメントを書いている。まぁ、讀賣ファンに限らず、同じ境遇になれば、どこのファンであってもこういう非常識コメントを書く輩は必ずいるんだろう。

↓こんな内容だ。呆れる、を通り越してしまう。

・日本ハム製品は買うな
・東海大は日ハム関係者の敷地内への立ち入りを禁じろ
・東海大学系列の大学高校は全て日本ハム関係者と断絶しろ
・讀賣球団は日本ハムの東京ドーム使用を許可するな
・絶対に起きてはならないことが起きた
・NPBから日本ハムを追放しろ
・徹底した報復が必要だ


全うな讀賣ファンが見たら、さぞかし悲しがるだろう。タイガースファンとして同情する。あまりにもレベルの低い内容なので、この件についての意見は省略。

それと、思い通りに指名できないとなると、ドラフト制度そのものの是非を言い出し、人権無視だと言い出す人も出てくる。ルール違反ではないから、メディアを利用して一本釣りを狙った作戦を通してきたことには同調し、いざ一本釣りができないと、ドラフト自体ルール違反だと主張するのはどう考えても矛盾がある。

先ず、論点はドラフトありきだ。讀賣も日本ハムもルールに則ってドラフト会議に参加している。ドラフト制度そのものを論じるなら、違った土俵で12球団の代表なりがしっかりと議論して改革を進めればいい。万が一にも、讀賣球団が今回のように好きな球団に行けないことを、人権問題と絡めて異議を唱え、同調できないというのであれば、讀賣が別組織を作ってやればいい。

野球は1チームではできない。相手があってこそ成り立つ。相互協力して多少同調できない部分も協調しているからこそ興行できる。ドラフト制度は、12球団がルールを守るという前提で開かれる新人選手の選択会議だ。これがずれると収拾のつかない話になってしまう。

現行制度に則り、その制度をどう改善すれば今回のような事態を起こさずに済むのか? 機構側はもっと早くに手を打っておかなければならなかった。讀賣どうこうよりも、明らかに機構側の怠慢である。そして一番の被害者は菅野選手であり、3年間も待った讀賣の長野だ。

幼い頃から好きな球団があって、プロ野球選手になるのが夢で、その好きな球団でやりたいと思うのは当事者なら誰でも思うだろう。メディアや周囲の人間が、そんな若者の目の前で、夢が叶う方法をチラつかせれば誰だってその気になってしまう。結局、それに振り回された本人が一番辛い思いをしなければならなくなる。こんな理不尽なことはない。

先日も書いたが、「希望球団以外は行かない」 という発言が許される環境が最大の悪の根源だと思う。球団名を出さなければOKなどという曖昧な規定にしておくから、規定の裏を潜り抜けようとする姑息な事を考える者が出る。改善すべきはここだと思う。機構が早くからこの部分にメスを入れておけば、長野も菅野も気持ちを割り切ることができたはずだ。

余談だが、ルール違反でなければOKという理論は、人を殺したり暴力をふるったりすることは法律で禁じられているからやらないが、人を虐めてはいけない、ということは、法律には書かれていないからやるというのと変わらない。そんなことをする企業が、株主や顧客、取引先から信頼され続ける企業になり得るわけがない。

現行のドラフト制度も長年に渡って制度改革が行われてきた。裏金問題が発覚した為に自由枠制度も廃止になった。今まさに制度改革をしなければならない時だ。志望届=特定の球団だけの志望などという歪んだ解釈をする必要などない。志望届はプロで野球がしたいという強い意思表示と解釈し、規定に明文化すればこんな問題は起こらない。

交渉権を獲得したチームが入団交渉を行う権利を持つ。選手が球団の話を聞いて、環境、待遇、評価などに開きがあれば、拒否する権利も当然あって良い。同志社の小林捕手のように、「1位以外は社会人」 というオプションは、指名する球団もリスク回避となるので希望として出しても良いと思う。しかし、有望選手が特定球団に入りやすくなるためにあるような曖昧なルールや仕組みなど即刻改善すべきだ。

菅野の家族が、日本ハム側の事前挨拶がなかったことに道義的にどうなのか、という不信感を抱いたようだ。日本ハムも誠意がなかったのかもしれない。しかし、メディアをはじめ、東海大野球部監督に至るまで、菅野単独1位のために多くの関係者が他球団を牽制し続けた。

じゃぁこれは道義的にどうなんだ?? と言いたくもなる。是が非でも1位で獲得したい投手、日本ハムは春先から菅野1位を決めていたと言う。牽制合戦に巻き込まれないよう、こういう戦略でいくしかなかったことは容易に察するこができる。

菅野投手よ、日本ハムへいったらどうか。好きな球団へ移籍する仕組みは完備されている。FA権を行使して堂々と讀賣へ行けばいい。一年は長い。何が起きるかわからない。1年後原監督が同じ立場でいるなんて保証もない。1年後にルールが変わっているかもしれない。

何よりも思うのは、叔父である讀賣の原監督が背中を押してやって欲しい。野球人なら入団するように薦めてやって欲しい。そう願わずにはいられない。