ベスト8の壁。スペイン代表につねに立ちはだかっていたW杯ベスト8の壁がついに破られた。1950年のブラジル大会以降、スペイン代表はベスト8まで4回駒を進めているが、いずれも敗退。無敵艦隊にはいつのまにか勝てないチームというレッテルが貼られてしまっていた。

 ヨーロッパチャンピオンとして迎えた南アW杯。グループリーグ初戦でスイス代表に敗れ、一時はどうなることかと心配されたが、エースのビジャがその後4試合4ゴールをマーク。そして対パラグアイ代表戦でも1ゴールを挙げ勝利に貢献した。

 歴史的な勝利も簡単な試合ではなかった。58分、パラグアイ代表のCKの場面でピケがカルドソを引っ張りPK。この不用意なファールでPKを獲得したパラグアイ代表だったが、カルドソのシュートをGKカシージャスが阻止。「レイナから左に飛べと言われた」と試合後に語ったカシージャス。同僚のアドバイスでスペイン代表を救った。

 その2分後、今度はスペイン代表のビジャがペナルティーエリア内で倒されPK獲得。キッカーを務めたシャビ・アロンソはこれをしっかり決めたが、主審はやり直しを命じる。セスクがキック前にペナルティーエリアに入ったということだが微妙な判定だった。もう一度シャビ・アロンソのPK。しかし、今度はパラグアイ代表GKフスト・ビジャルが止める。こぼれ球にセスクが反応し、フスト・ビジャルは完全にセスクを倒していたが、笛はふかれなかった。

 2002年の悪夢の再現か。韓国代表とベスト8で対戦したスペイン代表は、度重なる誤審で、最後はPK戦の末、韓国代表に敗れていた。また、主審が試合を左右してしまうのか。という嫌な雰囲気もあったが、81分、チャビ、イニエスタ、ペドロと繋ぎ、ペドロがシュート。ゴールポストに当たったこぼれ球をビジャがうまくコントロールし、待望の決勝ゴール。ついにスペイン代表が世界の4強に名を連ねた。準決勝の相手はドイツ代表。2008年のユーロ決勝の再現が実現した。今大会の最大の難関をスペイン代表が迎える。

(スペイン通信)