「付き合い始めはあんなに女の子らしかったのに...」「あんなに優しかった妻が一変して鬼嫁に!」なんてよく聞く話し。最近では、テレビでも鬼嫁特集なるものが放送されるようになりました。昔はカワイイ格好だったのに、今じゃ年中スウェットでソファーの上。チラリと見えてドキドキしていた彼女の肌も、今じゃドッサリとウエスト上にのっかっている始末。「あぁ、何で結婚する前に見抜けなかったんだろう」と後悔した人も中にはいるかもしれません。
 
 実はブッダもそんな女性に嫌気がさして出家したと言うのです。一般的にブッダの出家の動機は「四門出遊」と解釈されています。ブッダが14歳の時、人間の老・病・死を目撃してショックを受け、人生についての愁いにとらわれ、世をはかなみ、それが出家の動機となったとするものです。しかし「今こそ、わたしは世俗からの大いなる離脱をしなければならぬ」と決心し森へ出ていった直前にこのようなことがあったそうです。

 ある者はいびきをかき、ある者は寝言を言い、ある者は口を開け、ある者は着物をはだけ、陰部を露にしていた。王子(後のブッダ)はその姿を見て、ますます欲情をなくす。彼には、飾り整えられた宮殿も、突き刺されたいろいろな死骸が一面に転がっている墓場のように見え、三界がまるで燃えさかる家のように思われた。

 これはシッダルタ(後のブッダ)が見た女性の姿です。母親を早くに亡くしたシッダルタに寂しい思いをさせまいと考えた父は、シッダルタをひたすら甘やかし彼の周囲に常に女性をはべらかせました。しかしシッダルタは女性たちに興味を示さず眠りにつきます。その後、目を覚ましたシッダルタの前には踊ることをやめて眠りこけている上記のような女性たちの姿があったというのです。

 『ブッダはなぜ女嫌いになったのか』の著者・丘山万里子さんによれば、経典ではこの描写の後に「今こそ、わたしは世俗からの大いなる離脱をしなければならぬ」と決心し妻と子をおいて森へ出ていったそう。「出家の最後の決断は、女たちのあさましい姿ということであろうか」と丘山さん。

 でも女性の言い分もきっとありますよね。シッダルタのために踊っているのに、寝ちゃうんですもの。「あぁ、馬鹿馬鹿しい」なんて美女の声が聞こえてきそう。女性に対してブッダと現代の男性に通ずる思いがあるように、男性に対するブッダの周囲の美女と現代の女性の言い分にも、何だか通ずるところがありそうです。



『ブッダはなぜ女嫌いになったのか 』
 著者:丘山 万里子
 出版社:幻冬舎
 価格:798円
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