楢崎のPKストップで救われた試合。W杯までの日数を逆算すれば、悲観せざるをえない内容だった<br>(Photo by Kiminori SAWADA)

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寒さが身に沁みたベネズエラ戦が、まだしもまともだったかのように感じられた。2月6日に行なわれた中国戦である。見るべきものが何もない。試合後のブーイングは当然だった。

試合映像を改めてチェックしてみる。

攻撃の狙いは感じられた。連動性が発揮された場面はあった。18分の玉田の決定機は、ニアサイドへの低く速いクロスからだった。42分の決定的なシーンも、ニアサイドへのクロスから生まれている。サイドチェンジを織り交ぜていたのは、攻撃が中央に偏ったベネズエラ戦の反省からだった。やろうとしていることは、伝わってきた。

チームの立ち上げ当初なら、0−0という引き分けにもある程度は納得できるだろう。だが、W杯本大会まで4か月である。「やろうとしていることが伝わってくる」という状況は、ベスト4入りを目標とするチームの姿でない。

ベネズエラ戦からの上積みがあるのは当たり前で、W杯を念頭に置くと悲観的にならざるを得ない。楢崎のPKストップで辛うじて引き分けたゲームを、どうして評価できるだろう。不安、焦り、苛立ちといった負の感情ばかりが沸き上がってくる。

たとえば、中国の左サイドバックに際どいシュートを浴びた32分の場面だ。そもそものきっかけは、左サイドからドリブルをしてきた相手選手を、中村憲、遠藤、稲本、闘莉王の4人が食いつきながら止められなかったことにある。すでにこの瞬間に、バイタルエリアがぽっかりと空いていたのだ。

右サイドからのクロスは、中澤が何とか跳ね返した。中国の左サイドバックは、ミドルシュートを打ってきた。わずかにゴール左へ逸れたことで相手の攻めは終わったが、W杯ではそうもいかないだろう。シュートをワクへ持ってくる確率は高いはずで、シュートではない選択をしてくる可能性もある。

セカンドボールを拾ったデ・ヨングの外側から、ファン・ブロンクホルストが上がってくる。相手をつかまえきれずに四苦八苦しているゴール前では、あちこちでマークのズレが生じている。左サイドからクロスを供給され、シュートを叩き込まれる──W杯での失点シーンが思い浮かんだのは、僕だけではないはずだ。

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