思い至るシナリオすべてが、机上の空論のようにも思える<br>(Photo by PRO SHOTS/PHOTO KISHIMOTO)

写真拡大

 あくまでも前向きにとらえて、やり方次第で勝ち上がる可能性をあげることのできるグループ、という表現ができるだろうか。12月4日(日本時間5日未明)に行なわれた、南アフリカW杯の組み合わせである。日本はオランダ、デンマーク、カメルーンと同じグループEとなった。

 第1グループ(シード国)の8か国とはすべて対戦経験があるが、岡田武史監督のもとで戦ったことがあるのは南アフリカとオランダの2チームだけだった。今年9月に対戦しているオランダは、日本の選手にとってイメージをつかみやすい相手と言うことができる(だからといって、勝てる確率が高いわけではないが)。

 カメルーンとは過去3度の対戦経験がある。最新のゲームはオシム監督指揮下の07年8月までさかのぼるが、こちらもオランダ同様に未知の相手ではない。大分で行なわれた試合には、リゴベル・ソング、ステファン・ムビア、サミュエル・エトーらが出場していた。まずまずの顔ぶれが揃っていた。当時とは監督が違うものの、大まかなイメージは抱けるだろう。

 ノーシードの欧州勢で形成された第4グループからは、デンマークがグループEに飛び込んできた。フランスとポルトガルを避けられたことで安堵感も漂うが、デンマークが格下などというわけでは断じてない。ポルトガルとスウェーデンを抑えてグループ首位で予選を突破した実力には、十分な警戒を示す必要がある。

 どこのグループに振り分けられても、タフな戦いが待ち受けているのは間違いない。ただ、北朝鮮や韓国のように、欧州、南米、アフリカの国とすべて対戦するよりも、欧州勢2か国と同居した日本のほうが対策は講じやすい。ブラジル、コートジボワール、ポルトガルと対戦する北朝鮮は、日本よりも明らかに大変なグループに押し込められた。

 予選突破のポイントに高地や気候への順応もあげられるなかで、注目したいのは対戦順である。カメルーン、オランダ、デンマークという順番は悪くないと思う。欧州勢との対戦が続くことで、オランダとの第2戦がデンマーク戦のシミュレーションの役割を果たしてくれるからだ。

 初戦の重要性は言うまでもない。勝てば勢いをつかめる一方で、負ければいきなり追い詰められる。ドイツW杯ではガーナとウクライナが初戦を落としながらベスト16へ進出し、日韓W杯ではアルゼンチンが白星発進ながらグループステージで敗退したが、こうしたケースは少ない。グループステージ突破のためには、カメルーン戦は引き分け以上が条件となる。

 少々強引なのは承知で、こんなデータを紹介しよう。32か国参加となった98年以降の3大会で、グループステージを突破したアフリカ勢はすべて1か国である。98年はナイジェリア、02年はセネガル、06年はガーナだ。このデータに「開催国は必ずグループステージを突破する」というデータを付け足すと、今回は南アフリカが16強へ名乗りをあげることになる。カメルーンはグループステージ敗退となるわけだが……。

 それにしても、ベスト4という目標の何と高いことだろう。グループステージ突破のシナリオさえ、なかなか思いつかない。思い至るもののすべてが、机上の空論のような気がしてならないのである。

戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖