またも、硫化水素自殺とみられる事件だ。4月10日正午ごろ、京都市右京区梅津のマンション4階に住む女子大生(23)が浴室で倒れていた。

友人(23)が同女子大生方を訪れると「硫化水素が発生しています。部屋に入らないで下さい」とのメモが郵便受けに貼られていた。
約1時間後、110番通報を受けた消防隊員が化学防護服を着て室内に入ったところ、浴室で倒れている女子大生を発見したが死亡していた。
現地は住宅地で、被害拡大を防ぐため消防隊員が近隣住民に避難を呼びかけた。周辺には異臭が立ち込め一時騒然とする事態となった。

通報した友人は同日午前10時ごろに「郵便受けの物を取りに来て」と女子大生からメールを受けて訪問した。「2週間ほど前に(女子大生が)硫化水素の自殺がはやっていると話していた」と友人は話した。

現場検証した右京署によると、浴槽のふたに置かれた衣装ケースに洗剤などを混ぜた跡があり、硫化水素らしきガスが充満していた。「生きるのが面倒くさい」と書かれた遺書もあり、自殺とみているということだ。

練炭などによる一酸化炭素中毒自殺が一時続いたが今度は硫化水素自殺が相次ぐ、周辺の者が巻き添えをくう場合もあり本人の意思とは関係なく周辺への影響も大きい、これ以上の拡大は止めていただきたい。

最近起こった事件を振り返っても周辺への被害も多く出ているのだ。
4月5日東京都八王子 高校1年の少年高尾山で死亡
          同5日 高尾山で成人自殺者が発見される。
4月4日 大阪府 で男性(55)方で5人が倒れ、一人死亡、一人が重体 二人が自殺を図り3人は巻き添えとみられる。
3月31日 札幌市 男性(32)が自宅で死亡。張り紙があった。
3月28日静岡市の林道沿いでビニール袋をかぶり女性が死亡。
2月18日 東京都のアパート1階で男性(27)が硫化水素自殺を図ったところ3階に住む女性と子ども2人がガスを吸い軽症を負った。

昨年7月には、神奈川県で男子大学生が自殺した巻き添えで家族二人が死亡。救急隊員や警察官も目の痛みなどの被害を受けた。

これらはまだ一部であり、その件数と周辺の被害状況には驚くばかりである。

硫化水素は火山や温泉などでも発生する硫黄の匂いのガスだが、その特徴は空気より重く、無色で、水に溶ける、腐った卵のような強い刺激臭があり、目、皮膚、粘膜を刺激する有毒な気体である。
しかし、独特な臭気があるが濃度が高くなると逆に匂いが感知できなくなるので、濃度が致死量に近くても気づかないケースもあり注意しなければならない。

一連の硫化水素の自殺者の多くはインターネットで「楽に死ねる」などと情報を得ているという。
インターネットには「生きる」ための情報もたくさん流れている、そちらももう少し見てみてはどうだろうか。

(編集部 TAKESHI)