川島道行(ボーカル&ギター)
 BOOM BOOM SATELLITES JAPAN TOUR 2006、初日6月10日の宮城・仙台CLUB JUNKBOXからスタートした全国8都市でのツアーが7月2日、東京・新木場スタジオコーストでファイナルを迎えた。この日のチケットはソールドアウト。20時1分、場内の照明が落とされた瞬間、客席から歓声が上がる中、メンバーがステージに現れた。

 スタートは5月17日にリリースされた5枚目のアルバム「ON」と同じく「KICK IT OUT」から。ステージ上の大型ビジョンに連続的な映像が映し出され、川島道行(ボーカル&ギター)のフライングVの乾いたカッティングと、もはや3人目のメンバーといっていいサポートドラマー平井直樹のフィルが場内の空気を切り裂いていく。中野雅之(プログラミング&ベース)の周囲を取り囲んだ機材から発せられる音数がプラスされていくにつれ観客のテンションは高まり、川島のシャウトを合図に会場は一気にダンスフロアと化した。

 2曲目は同じく「ON」より「GIRL」。ダークなブラス系サウンドの上で、どこかシニカルな表情だったボーカルが徐々に狂気にも似た激しさを帯び始め、その流れは「GENERATOR」へと続いていく。4曲目は前作「FULL OF ELEVATING PLEASURES」よりテレビCM曲にも起用された「Moment I Count」。体内を心電図の波形を描く様な重低音が駆け巡り、彼らの発するサウンドとオーディエンスとがシンクロしていく。

 ライブならではの曲「Dig The New Breed 2006」で盛り上がった後は、BOOM BOOM SATELLITESの名前を新たに世に知らしめる結果となった、映画「アップルシード」主題歌「Dive For You」。そのイントロが流れた瞬間に客席からひと際大きな歓声が上がり、一気にヒートアップ。

 再び「ON」からの選曲が続く。シンセベースが地下を徘徊するかの様にうごめき続ける「PLAY」。「LOADED」では一転、加熱したフロアをクールダウンさせるかの様にゆっくりと大型ビジョンの上から下へとグラフィックが流れていき、これまで見ていたBOOM BOOM SATELLITESとは別の顔を見せる。テレビCMやクールなPVでも話題となったダンスナンバー「PILL」では「I'm gonna drive you crazy」という歌詞通りにフロアを熱狂させ、ラストは彼らの代表曲の一つでもある「FOGBOUND」で本編を走り抜けた。

 アンコールでは、「ON」からの選曲が中心だった本編から原点回帰。圧倒的な光の洪水が降り注ぐかの様な「Rise and Fall」と、狂気が交錯する「Ghost and Shell」。Wアンコールでは「DRESS LIKE AN ANGEL」をそれぞれ演奏し、BOOM BOOM SATELLITESの起源から「ON」へと至る軌跡を感じさせた。

 従来、テクノロジーを駆使した楽曲制作手法を取るために、ライブでは音源から聴き取っていた印象よりも強くリアルな彼らの感情を体感することができる。川島の担う役割が、サウンドを構成する音色の一つとしての存在から、楽曲の精神状態を聴衆に伝達するボーカリストへと変遷していく過程を感じ、中野が自らの体でリズムを取りながら機材を操る姿や、STEINBERGERのベースを手にステージ前に飛び出して観客を盛り上げる様子など、エンターテイナーとしての意識の高さを強く感じたライブとなった。

演奏曲目
01. KICK IT OUT
02. GIRL
03. GENERATOR
04. Moment I Count
05. Dig The New Breed 2006
06. Dive For You
07. PLAY
08. LOADED
09. PILL
10. FOGBOUND
- EN1 -
11. Rise and Fall
12. Ghost and Shell
- EN2 -
13. DRESS LIKE AN ANGEL

ブンブンサテライツ - アーティスト情報

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