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photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)、Taro Ueno(上野太朗)

もくじ

ー なによりタイヤ
ー ミッションをチェック
ー 気になるオイル漏れ

なによりタイヤ

前回は、急に効かなくなってしまった
930のヒーターの復活について触れた。

せっかくだから、ということで
その他の整備すべき点を探っていただいた。

なかでも気になっていたのは、
寒い日、段差や傾斜を踏み越える際に、
フロントの足回りから「キシキシ、ギシギシ」
と、音がすることが稀にある点について。

これは
・ガイディングアーム
・スプリングアームのブッシュ
を交換すると改善されるらしい。
が、もうすこし観察し、
どんな気候でも頻繁に音がするのならば
交換を考えればよさそうとのことである。

ほかの部分を診ていただこう。

その流れで足元を下から覗いてみると、
どうやらターボのストラットがついている。

いつも個人的に楽しみに読んでいる、
兵庫県でポルシェ整備をしている
「FROSCH/フロッシュ」さんのブログには
ターボとSCはターボストラットと書いている。

「930のショックの見分け方講座」
FROSCH BLOG 2014年2月28日21:07

たしかにその見分けとなる、
ストラットケース下に、ロールピンがある。

当時、どのような仕様で日本に正規輸入され
どのようなラインナップがあるのか
欲を言えば、どんなものに交換できるのかを
追って細かく調べてみたい。

さらにシンリュウの箭内さんの指摘は、
装着しているタイヤが古すぎること。
調べてみると、けっこう前に製造されていた。
乗り心地うんぬんを語るならば、まずはココ!
「よくこれで乗ってるね!」とのことで
あたらしいタイヤの入手が最優先となった。

ミッションをチェック

つづいて、ミッションのチェックだ。
箭内さんと同乗走行してチェックした。

ちなみに930型の911 SCには、
「915型」ミッションが採用されている。
930型911には、
・915型
・G50型
・930型
の3種類にくわえ、
スポルトマティック(905型)が存在する。

915型はナロー時代の911から引き継がれる。
もともとは4速のものも存在していたが、
僕が乗っている911 SCがくわわってからは
マグネシウム製からアルミ製の5速になった。
素材変更はトルク強化に耐えるための措置。
「ポルシェシンクロ」を備えることが特徴で、
1987年、G50型に切り替わるまで使われた。

もうひとつ豆知識だけれど、
915型ミッションの操作感が
「はちみつを棒で掻き回すような」
なめらかなものであるのに対して、
G50型がぽきぽきした感触になったのは
ポルシェシンクロではなくなったからではなく
シフトのリンケージの取り回しが変わったから
ということである。へぇ〜。

で、ミッションが健康かどうか、である。

結論からいうと「まだまだ使える」とのこと。
100点満点を狙うならばOHの選択肢もあるが
(ここはもう、ひとそれぞれ(あとは予算))
世の中には、あらゆる段でギア鳴りするなど
これよりもひどい状況のものもあるのだそう。

4速で高速巡航すると、ぐわぁんぐわぁん、と
回転数依存で波長が変わるような音については
おそらくベアリング周辺の問題だと聞いた。
しかし(繰り返しになるけれど)現状では
古いタイヤゆえノイズが大きすぎ精査できず。
いずれにしても直すのはオーバーホールの時。
だからこれも「とりあえず様子をみる」方針。

もう1点気になっていた、
たとえば信号停止の手前で、次の発進に備え
速度が落ちきる前に1速に挿入するときなどに
「ギコっ」とギア鳴りする傾向は、
どのモデルでも同じことなのだそうだ。

きちんと静止して、
ニュートラルから、やや2速をなめて1速へ。
発進はクラッチペダルを離し
(アクセルペダルを踏まず)発進がベスト。

3.0ℓエンジンは低速でも粘ってくれるから、
1速はほどほどに2速にインサートして、
そこからふわりと加速していく。
なんのこともない、ふつうの発進である。

どうして昔の自動車雑誌が、
あんなに魔物を従えるかのような
(あるいは特別な儀式を要するかのような)
書き方をしていたのかが僕はよくわからない。
あるいはナローだと、ぜんぜん違うのかしら。
そのへんは追って体験してみたい。

気になるオイル漏れ

もう1点、オイル漏れについて。
駐車場にとめていると、
ぽたりと数滴だけ
地面がシミになっていることがあった。

・ミッション
・デフのサイドシール
・クランクシール
の3カ所に、わずかなオイル滲みを発見した。
が、これも致命的ではないレベルとのこと。

ちなみにエンジンは
1度、オーバーホールした経歴があるようだ。

また、ブレーキホースは
次回の車検時(6月)に
交換すべきだとアドバイスをいただいた。

最後にボディ。
フロントバンパーの蛇腹後方が
ポロポロと塗装が剥げている状況だから
ここだけは塗ってもらうことにしよう。

結果として、
いますぐに整備しなければならないところは
まったくありませんでした。ちょと拍子抜け。

「現状、しっかり走ることができる個体だから
 まずは一体になって走れるようにしよう」
というのが、今回の結論です。

※今回も最後までご覧になってくださり、
 ありがとうございます。

 重大な問題があるとグーンと落ち込む。
 大きな問題がないと、それはそれで、
 いろいろとやってあげたくなるもの。
 (お金、ないけれど。)