JALのパイロットは乗務の24時間前から飲酒が禁止されている

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パイロットと客室乗務員(CA)の飲酒で日本航空(JAL)が国土交通省から事業改善命令や業務改善勧告を受けた問題で、JALは2019年1月18日、改善策を国交省に提出した。検査体制の強化や社内処分の厳罰化、社内教育の強化などが骨子だ。

副操縦士が18年11月に英国で逮捕されたことを受け、飲酒禁止の期間を乗務12時間前から暫定的に24時間前に拡大し、国内・海外の滞在地でも飲酒を禁止している。この対応を恒久的に続けるには「無理がある」として、再発防止策が徹底され次第、元の12時間前に戻す考えだ。

飲酒CAは「処分の一環として会社を去る」

JALでは18年10月には、副操縦士から基準値を大幅に上回るアルコールが検出されたとして英国当局に逮捕・起訴され、禁固10か月の実刑判決を受けた。18年12月には、成田-ホノルル便に乗務していたCAが、機内で飲酒していたことが発覚している。国交省はそれぞれの事案に対して、事業改善命令と業務改善勧告を出した。国交省がJALに対して業務改善命令を出すのは、運航トラブルや作業不具合が連続した05年以来13年ぶりで、飲酒問題にからむものは初めて。

副操縦士は11月30日に懲戒解雇処分を受け、飲酒が発覚したCAについては19年1月18日に「厳正に処分」したと発表された。都内で記者会見した植田英嗣・総務本部長によるとCAは1月末に退職する。処分の内容については

「詳細は控えるが処分を伝え、本人は退職する」
「処分の一環として会社を去る」

などと説明。諭旨退職に類する処分が行われたことを示唆した。

基準値厳しくし、検査回数を増やす

今回発表された改善策は(1)飲酒対策を組織的に管理する体制の構築(2)アルコール検査の強化と処分の強化(3)カウンセリングを行うなど不適切事案を未然に防ぐ仕組みづくり(4)社員教育、などが骨子。検査の強化では、「呼気1リットルあたり0.1ミリグラム」だったアルコール濃度の基準値を「0.00ミリグラム」に厳しくし、検査に第三者を立ち合わせたり、乗務前だけだった検査を乗務後にも行うようにしたりする。

現在の「乗務前24時間前、滞在先で飲酒禁止」の対応は、本拠地で数日間にわたって休みが取れる場合を除けば、実質的な「完全禁酒令」に近いという指摘も出ていた。

進俊則・運航本部長によると、この対応は現在も続いているが、

「今後、さすがに、現実的にこれを恒久措置に、というのは無理があると考えているので、今回の防止策が確実に全員に周知されて実行していく時期をみて解除し、もとの12時間には戻そうと思っている」

などとして、対策の進捗をみて元に戻したい考え。具体的な時期については「今はちょっと見通せていません」とするにとどめた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)