「史上最もハイレベル」なJ1残留争いの行方は?【写真:Getty Images】

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18チーム制以降の最下位の最多勝ち点「27」に、長崎が7試合を残して並ぶ

 今季のJ1リーグの残留争いは、未曾有の大混戦となっている。

 9月21日〜23日に行われた第27節では、前節終了時点で14位の横浜F・マリノスが11位のジュビロ磐田に勝利(2-1)し、15位・16位対決となったサガン鳥栖と柏レイソルは引き分け(1-1)、17位ガンバ大阪は10位清水エスパルスに勝利(2-1)し、18位V・ファーレン長崎も4位ベガルタ仙台相手に勝利(1-0)した。下位チームが軒並み勝ち点を獲得したことで残留争いは混戦に拍車がかかっており、10位清水から18位長崎まで勝ち点「7」差の中に9チームがひしめき合っている。

 J1は2005年から現行の18チーム体制となったが、[DATA-1]にまとめた過去13シーズンのデータを見ると、最下位チームの最多勝ち点は09年にジェフユナイテッド千葉が記録した「27」であり、今季の長崎は第27節段階でこの数字に並んだことになる。長崎が次節以降で勝ち点を「3」積み上げれば、全チームが年間勝ち点「30」以上という史上初のケースになる。

 また第27節終了時点での下位3チームの合計勝ち点は「87」(柏:30、G大阪:30、長崎:27)、合計得失点差は「-35」(柏:-9、G大阪:-10、長崎:-16)。これも[DATA-1]にまとめた05年以降の過去13年間のデータと比較すると、合計勝ち点は「最多」、合計得失点差は「最少」となっており、最下位チームだけでなく、残留ラインを争う各チームがいずれも勝ち点を積み上げることで、史上最もハイレベルな残留争いとなっている。

 それでは各チームが残り7、8試合となったなか、今季の激闘はどのような結末を迎えるのだろうか。


直近5試合の勝ち点の平均から最終勝ち点を算出すると…

[DATA-2]は現在の各チームの“勢い”から残り試合の獲得勝ち点を予測し、最終順位を示したものだ。表項目の「直近平均」とは、直近5試合の勝ち点を平均した数値。8月下旬以降の各チームの“勢い”を表したこの数字に、残り試合数を掛け合わせて勝ち点を算出し、現時点の勝ち点を加えると、最終順位は優勝争い、残留争いともに変動が起きていることが分かる。

 優勝争いは接戦ながら1位川崎フロンターレ、2位サンフレッチェ広島となった。川崎は第27節で、ワールドカップ中断明け以降、勢いに乗っていた名古屋グランパスに3-1と快勝し、直近5戦で3勝1分1敗と好調を維持している。現時点では首位広島を勝ち点「3」差で追う川崎だが、今回の計算による最終獲得勝ち点は「67」で、広島の「65.8」を上回った。

 また、3位鹿島アントラーズ以降は数珠つなぎのような勝ち点差で並び、前半戦に大苦戦して一時は最下位も経験した名古屋は、第19節以降に7連勝を達成したこともあり、9位フィニッシュとなった。

 一方、元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタの加入やフアン・マヌエル・リージョ監督の招聘に成功したヴィッセル神戸だが、直近5試合は1勝4敗と大きく負け越しており、このままだと残留圏内ギリギリの15位でシーズン終了を迎えてしまう。一時はAFCチャンピオンズリーグ出場圏内も見えていただけに、“計算上”では悪夢のような急落ぶりが予想されている。

 また、今夏に来日したもう一人のビッグネーム、元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスを擁するサガン鳥栖は、直近5試合を2勝2分1敗と勝ち越しており、13位へと順位を上げて残留予想となっている。

 そして残念ながら現時点での残留ライン(15位以上)を下回った3チームは、プレーオフに回る16位がジュビロ磐田、降格圏の17位が柏レイソル、18位がV・ファーレン長崎となった。第27節終了時点で暫定11位の磐田だが、直近5試合は1勝2分2敗と失速気味。最終予測勝ち点で、15位神戸とはわずか「0.2」という僅差だが、まさかの16位転落となっている。

 もちろん、ここで示したのはあくまでも机上の計算によって算出されたもの。時に予想を超えるドラマが生まれるのも、Jリーグの大きな魅力となっているが、例年以上の混戦となっている残留争いの定点観測は、“J1クライマックス”の楽しみの一つになりそうだ。


(Evolving Data)