5日放送、テレビ朝日「報道ステーション」では、スポーツキャスターの松岡修造氏が、平昌パラリンピックのスノーボードクロスとバンクドスラロームに出場する成田緑夢にインタビューした。

成田童夢、今井メロと2人のオリンピアンを兄と姉にもち、1歳のことからスノーボードを始め、天才と称された成田。だが、2013年4月、自宅のトランポリンで練習中に、ひざの前十字靭帯と後十字靭帯の断裂、動脈も破裂する重傷を負った。

足の切断を迫られる可能性もあったほどの大ケガで障がいを持った成田は、一度は五輪の夢を断念した。転機は、友人に誘われてウェイクボードの大会に出場したことだった。

その様子をSNSで公開すると、同じような障がいを持つ人から「緑夢くんを見て僕もやってみようと思う。感動をありがとう」というメッセージを受け取ったのだ。成田は自分がスポーツをすることで「こうやって人に影響を与えることができる」と知った。

その後、様々なスポーツにトライしてきた成田は「目の前の一歩に全力で」という言葉が好きという。ざっくりの目標だけ決めたら「あとは僕にできることは目の前の一歩を全力で踏むことだけといつも言い聞かせている」のだ。

2月のW杯で優勝するなど、今季W杯総合チャンピオンの成田。だが、本人は金どころか「メダルのメの字も言っていない」とコメント。「そこにフォーカスをおいていない」と、メダルは目標ではないと言い切る。

では、パラリンピックで何をしたら成功となるのか。成田は「最終の夢は障がいを持っている人、ケガをして引退を迫られている人、一般の人に、夢や感動、希望、勇気を与えられるような、すてきなスポーツアスリートになりたい」と答えた。

かつて、足の切断やスポーツはできないと言われた成田は「でも、今笑顔でスポーツできているという情報共有だけでも、引退しようとしている人たちにとっては大きな何か得られるものがあるんじゃないか。その小さな光になれたら僕はうれしい」と続けた。

松岡が「不可能なものは不可能」と言うと、成田は「不可能だと思っているものを、1万分の1に割れば、その1はできる」と返したという。この言葉にハッとさせられた松岡は「人間力がすごい」と成田を絶賛した。

松岡によると、成田はパラリンピックだけでなくオリンピックへの出場も目指しているという。陸上では、今は高跳びが一番合っていると感じているそうだ。松岡は2020年の東京オリンピックに成田が出場しても「全然驚かない」と述べた。