チャンピオンズ・リーグ準々決勝のレアル・マドリー対バイエルン戦では、ビダルが微妙な判定で退場処分を食らい、それがバイエルンの敗因のひとつにもなったが、そのことは全く関係なかったようだ。 (C) Getty Images

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 現地時間6月28日にロシア・カザンで行なわれるコンフェデレーションズカップ準決勝で、欧州王者ポルトガルと南米王者チリが対戦するが、戦いを前にアルトゥーロ・ビダルがクリスチアーノ・ロナウドを挑発したというニュースが、世界に広がった。
 

 それによると、ビダルはC・ロナウドについてのコメントを求められ、「彼は自惚れ屋だ。俺にとっては、存在しないも同然だ」と語ったというのである。
 
 あまりに攻撃的かつ強烈な発言に、新たな遺恨が両者間に生まれるかに思われたが、後にチリ代表チームの広報から、ビダルはそのような発言はしていないという声明が出された。
 
 マリア・ホセ・バスコンセロス広報は「ビダルの発言が間違って報じられた。彼はミックスゾーンでC・ロナウドについてのコメントを求められたが、その際、チリ・メディアはC・ロナウドのことを『CUCO』と呼んでいた。それが間違えて訳された」と語っている。(『ESPN』より)
 
『CUCO』とは、チリでは「霊的なもの」「怖れるべき存在」という意味を持つが、同じスペイン語でも、スペインでは「狡猾」といった意味で捉えられるという。
 
 ここから「無駄な存在」「嘘つき」「傲慢」「大胆」「凶暴」など、様々なネガティブな意味に広がり、「C・ロナウドは自惚れ屋」「彼は甘やかされた馬鹿者」「奴はいないに等しい存在」等といった、ビダルの“偽”発言ができ上がったのである。
 
 では、ビダルが本当は何を語っていたのかが気になるところだが、広報によると「我々には、怖れるべき存在などいない」ということだったようだ。
 
 これもなかなか強気の発言ではあるが、「C・ロナウドは自惚れ屋――」という挑発とは全く意味合いが異なる。対立関係をでっち上げられそうになったビダルにとっては、とんだ災難だったと言えよう。