【写真提供】滋賀県埋蔵文化財センター

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 先日、琵琶湖東岸の入江内湖遺跡の縄文時代地層から、マグロの骨が見つかった。海からはだいぶ距離のあるこの地域で、マグロが発見されたということは、わざわざ遠方から取り寄せて食べていたに違いない。実は、縄文人は現在の私たちに勝るとも劣らない、グルメだったのかも・・・!?

 今回見つかったのは、マグロの脊髄部分の骨。この骨からみて、体長は1〜1.5m程のマグロだと推測される。出土した地層は、縄文時代早期後葉から後期初頭のもの。このように西日本の内陸部から海魚に骨が出土することは大変珍しい。この地域は、一番近い敦賀湾や伊勢湾まで40〜50kmの距離があるが、このような地域の物と物々交換で入手していたとみられる。このように、遠くから取り寄せてまでマグロを好んで食べていたとすると、縄文人は貴重なマグロを味わう余裕のある食生活を送っていたと考えられる。

 では、縄文人たちはどのようにして、このマグロを食べていたのだろう? しかも、このマグロ、私たちが食べている、あのマグロを同じものなのだろうか?

 「今回見つかったのが脊髄の部分だったため、どのように調理して食べていたのかまでは、わかりませんでした」(滋賀県教育委員会担当者)と、残念ながら発見された部分があまりに限られていたため、調理法を特定するまでには至らなかった。ただ今回、この骨をマグロの脊髄と特定するにあたり、現在のマグロと比較したところ、私たちが現在、目にし口にしているマグロとほとんど同じと考えられることがわかった。縄文時代からマグロ好きだったなんて、日本人の味覚はその頃から変わらないんですね。

 さらにほかにも、琵琶湖で獲れるコイやフナ、煮炊きされた形跡が残るユリ科とみられる球根なども出土しており、動物性のタンパク質や食物繊維などをバランスよく摂っていたことがわかった。当時の人々は、意外にも充実した食生活を送っていたといえる。

 現在は美味しいものが、それほど苦労しなくても手に入る時代・・・。でも、縄文人のようなバランスの取れた食生活、見習わないといけないのかもしれませんね!(文/verb)