「白衣の天使」の言葉通り、看護師さんといえば、「白」のナース服をイメージする人が多数派だと思います。しかし病院に行ってみると、最近は「ピンク」のものもあることに気が付くはずです。そこには理由がありました。

白は「純潔」のイメージはあるのだが…

 カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんによると、病院など医療機関で働く人の制服には「カラーコンディショニング」の考え方が大きく関係しています。

 白は「純潔」のイメージがある一方、人を緊張させたり、死を思い起こさせたりする色でもあります。「病気などで気弱になっている患者さんにとって、白はベストの色とは言えません」(花岡さん)。逆に、薄いピンクには心を和ませる効果があるため、ナース服に使われることは理にかなっているそうです。

手術室は「青緑」、カーテンは「薄緑やピンク」

 手術室や手術着が「青緑色」であることにも意味があるそう。人間の目には、同じ色を長時間見ていると視覚が麻痺して、その色の補色(反対色)が残像として目の前にちらつく性質があります。手術室で赤い血液を見続けると、赤の補色である青緑色が残像となり、目を開けても閉じても青緑色がちらつくようになります。

「もし手術室や手術着が白だと、そこに青緑色が斑点となって映り、手術中の医師の目が疲れてしまうため、手術室と手術着には青緑色を用いるようになったのです」

 また、検査技師の制服に青色が多いのは、気持ちを安定させ、眠りを誘う効果があるから。病室のカーテンに使われている薄い緑色やピンクにも、患者さんの気持ちを和らげる効果があるそうです。

 ちなみに、入院中の知人にお見舞いの花を贈る際、「元気が出そうだから」といって、赤やオレンジを選ぶのは逆効果。「体調の良くない患者さんには、鮮やかな暖色系は色が強すぎて、かえって疲れてしまいます」。気持ちを和らげる効果を考慮して、ピンクなどの淡い色を選ぶとよいそうです。

 なお、患者さんの病状によっては病室への花の持ち込みが禁止されているため、事前の確認をお忘れなく。

(オトナンサー編集部)