キドニーグリルとヘッドライトをつなげたデザインとすることで、ワイドな印象を与える新型5シリーズ/モデル:有澤由真(キャンパスクイーン/2015年 大阪大学大学院卒業)

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昨年、創業100周年を迎え、世界的に好調なセールスが続くBMW。その中核を担うセダン5シリーズが、7年ぶり7度目のモデルチェンジを果たし我が国に上陸!2月11日より販売開始した。早速試乗する機会を得たので、新型5シリーズの魅力を探った。

【写真を見る】部分自動運転状態のメーターパネル。中央にレーンキープと前走車追従していることを視覚的に表示

5シリーズは1972年に誕生。以来、全世界で800万台が販売され我が国でも高い人気を誇る。今回のモデルチェンジでは部分自動運転を可能とした運転支援システムの採用や、同クラスにおいて圧倒的な低燃費の実現、さらにコネクティビティを向上が行われ、ビジネスセダンとしての完成度を高めてきた。

まず新機能となる部分自動運転について。ステアリング&レーン・コントロール・アシストと呼ぶそれは、フロントガラスに取り付けたカメラが、車線および前方車両を検知し、高速走行時や渋滞時に、車線中央を走行しながら前方車との距離を一定に保つというもの。さらに側面にもセンサーを配置し、走行車線に入ってくる際には、ステアリング操作を支援し、衝突を回避する機能も有する。このセンシング技術は、上位モデルである7シリーズに搭載するものと同等とのことだ。

もちろん、走りにも磨きをかけられている。アルミニウム合金やマグネシウム合金を用いて、先代に比べ80kgほど軽量化。ボディデザインも大幅に変更され、セダンとしてはトップクラスとなる空気抵抗値の低減(Cd値0.22)を実現。さらに8速のATトランスミッションの採用などにより、523dでは同社118dを上回る21.5km/Lという燃費効率を達成した。

カーナビゲーションシステムをはじめとする、コネクティング機能も見逃せない。自分の携帯電話を使わずとも、サポートセンターにつながり、車両診断のみならず、カーナビの設定、そして現在地や目的地のレストラン予約まで可能。知らない土地での新しい発見や出会いを、自動車が演出してくれるというわけだ。

ラインアップは、エンジンの違いや駆動方式違いによりバラエティ豊か。4気筒ガソリンモデルが2車種、6気筒ガソリンエンジンモデルが2車種、ディーゼルエンジン1車種、そしてハイブリッド車の5車種を用意する。さらに装備品などの仕様違いがあり計14車種となる。価格は523iの599万円から、540i xDrive M Sportの1017万円までと幅広い。

■ 「駆けぬける歓び」とはこのことなのか!と納得

今回は、3リットル直列6気筒ターボエンジンを搭載する540i M Sport(986万円)に乗り、磯子の市街地から高速道路を使い大黒パーキングエリアまでを走行した。

ドアを開けた瞬間、そのラグジュアリーで上質な車内空間に圧倒!品位の高いレザーシートは座り心地がよく、重厚さを感じさせるインテリアと相まって「居心地のよい空間」を演出。触れるもの全て質感が高く、大切な人に至上のもてなしを提供することは間違いないだろう。

BMW車ではお馴染みのオルガン式ペダルを踏み込むと、クルマは質量を感じさせながら動き始める。ステアリングフィールはリニアで手応えのあるもの。ちなみにオルガン式ペダルは、女性に好評とのことで、低めのヒールを履いた時に吊り下げ式に比べて運転しやすいという。

走行中の車内は振動が少なく静謐の一言。とはいえ、完全に無音ではなく、後方から低く聴こえる排気音が聴こえる演出がなされている。質量感のある操作感覚と共に、運転する喜びをドライバーに与えてくれる。この喜びを享受するのは、運転席だけに留まらない。助手席や後部座席でも重厚感や質量感を感じとることができ、安心した気分に浸れる。

高速道路に乗ると、新型5シリーズの美質はより一層高まる。車体が地面に吸い付くような安定感は、さすがアウトバーンのある国から生まれた車であることを納得する。圧巻なのは直列6気筒のターボエンジン。ターボの息継ぎなどは全く感じさせることなく、そして不快な振動を感じることなく、スムースに力強く吹け上がる。このフィーリングは官能的!思わずATのシフトタイミングをスポーツモードに変更したりハンドルに取り付けられたパドルシフトを駆使して、このエンジンとのひと時を味わいたくなる。「駆けぬける歓び」とはこのことなのか!

■ 「BMWは素敵」だと改めて感じさせる1台

さて、ハンドル右側に設けられたボタンを親指で押下、新型5シリーズのハイライトといえる部分自動運転を試すことにした。まずはレーンキープを開始し、スピードメーターとタコメータの間に、緑のラインが灯る。続いて隣のボタンを押すと、ディスプレイに車両が表示され、前走車検知が働いていることがわかる。こうなると、ハンドルに軽く手を添えているだけで、車は車線や前走車との感覚をキープし続けて走行する。この部分自動運転、約20秒ほどハンドルを手放しても動作可能。運転中にペットボトルを手に取り、蓋を取ることも可能だ!

この部分自動運転中、白線の中央を常に一定で走るわけではなく、コーナーではアウトインアウトのようなラインを描くことに気づいた。これは左右方向の移動を少なくすることで、乗員の快適性を得ようとした事から生まれたものだという。単に中央を走るだけでも大変な技術なのに、さらにその上を考えて実現しているのだ。

幼い頃からBMWに親しんでいたという、今回モデルを努めた有澤由真に新型5シリーズの印象を尋ねた。「一言でいえば、今までのBMWを凝縮したクルマだと思います。BMWらしい重厚感、上質感、そして乗っているとワクワクする気持ち……これらがすべて詰まっています。フロントマスクのキドニー・グリルは言うまでもありませんが、どこの角度から見てもBMWだとわかる正統派のデザインは美しいですし、インテリアもラグジュアリーで素敵。やっぱりBMWは素敵なクルマだなと、改めて感じました」と興奮気味に話してくれた。

600万円を超える価格は、おいそれと手が出るものではない。しかしBMWは買取保証額を定めた残価設定型ローンを用意しており、BMWとMINIを合わせたユーザーの約3割が利用しているという。そして、新しいモデルが登場すると、今まで乗っていた車を頭金代わりとして、乗り換えていくとのことだ。2月11日に発売開始の夕方、都内のディーラーに足を運んでみたところ、全ての商談テーブルが40代〜50代の家族連れで埋まっていたことに驚いた。きっと数ヶ月もすれば街で新型5シリーズを見かける機会が多くなることだろう。

ビジネスシーンはもちろん、ファミリーにも適した「大事な人のための」「BMWらしさが詰まった」歓びをあたえてくれるセダン。ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。【ウォーカープラス編集部】