温泉に入ったわけでもないのに寝汗でびっしょり。どこか悪いところがあるのでしょうか?

自律神経の乱れ、生理中のホルモンバランスの乱れも影響

人は寝ている間にコップ1杯分ほどの寝汗をかきます。だから朝起きたときにコップ1杯の水を飲んで、水分補給する必要があるのです。しかし、パジャマがグッショリするほどの汗となると正常な寝汗とはいえません。原因として考えられるのは、第一に自律神経の乱れです。

自律神経とは呼吸や代謝、消化など、自分の意志とは関係なく自動的に作動する神経系の総称。自律という言葉どおり、本人はコントロールできません。自律神経の働きが乱れると、めまい、頭痛、食欲不振、不眠、冷や汗、動悸などの症状が見られることがあり、人によって症状の種類や度合いは異なります。

原因として考えられるのは、まずストレスや生活習慣の乱れ。暴飲暴食、特にアルコールの飲み過ぎです。お風呂上りのビールは、飲み過ぎてしまうと発汗が余計に進み、背中が蒸れるのでほどほどにしましょう。最近の生活を振り返って思い当たるところがあれば、まずそれを改善していきましょう。朝起きて夜眠る、決まった時間に起きる、朝ごはんを食べる、長時間働き過ぎない、飲み過ぎない、タバコは吸わない、適度な運動をするなど。当たり前のことですが、日々の仕事に追われていると、ついついなおざりになってしまいますよね。

生理中のホルモンバランス変動による乱れも考えられます。寝汗以外にも、ふだんから生理周期が不順であるとか、生理前に体調がくずれるなどの症状がある人は、ホルモンバランスの乱れ=自律神経の乱れによる多汗症の可能性もあります。

ヒートテックを着たまま寝ていませんか

冬場に寝汗がひどくなる人がいます。寒さ対策から、布団を掛けすぎていることが考えられます。また、よくあるのが電気毛布のスイッチのつけっぱなしです。寝ている間に、寝床内の温度が高くなりすぎてしまうのです。

厚着も寝汗の原因になります。先日、私に寝汗の相談に来られた女性は、ヒートテックを着た上にパジャマを着て寝ていました。「まずヒートテックを脱ぎましょう」とアドバイスしました。寝汗の気になる人は、吸汗性の高いパジャマを選びましょう。

それでも寝汗が気になって夜中に起きてしまうようなら、ベッドサイドに着替えのパジャマや体を拭くタオルを用意しておきましょう。水のペットボトルも置いておきましょう。寝汗が増えれば、それだけ体内の水分が減ってしまいますから。特に冬場は、乾燥すると風邪をひきやすくなります。

寝汗が改善しない場合は、何らかの病気の予兆であることも考えられますので、一度、診察を受けることをおすすめします。寝汗が気になって眠れず、睡眠効率が下がるという負のスパイラルにはまるリスクもあります。まずは生活習慣と寝具環境を見直してみてください。

電気毛布が暑い〜。スイッチは切って寝よう 。



■賢人のまとめ
不規則な生活、お酒飲みすぎなど生活習慣の乱れのほか、ホルモンバランスの乱れが多汗の要因になります。厚着や布団の掛けすぎにも注意。重ね着して寝るのはやめましょう。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。