知られざる女子アナの世界とは(写真はイメージです)

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 テレビ朝日・下平さやかアナ(42)と東京読売巨人軍・長野久義外野手(30)の結婚が3月末に報じられたばかり。他にも大阪の読売テレビから川田裕美アナ(31)、静岡朝日テレビを退社し、4月から『めざましテレビ アクア』(フジテレビ)のメインMCに抜擢される牧野結美アナ(25)らの東京進出など女子アナを巡る話題は尽きない。

 競争率1000倍以上といわれる女子アナの世界に憧れる人はいつの時代でも数多い。かくいう私もその1人だった。大学卒業後地方局アナを振り出しに、現在、フリーアナとして活動している私は、今まで入社試験からいろんな番組や単発の仕事のオーディションを受けてきた。その際経験した出来事や他のアナたちから聞いた話を通して、今回は「女子アナの入社試験、オーディション」の実態について述べていきたい。

局アナも実力がなければ3年以内に去っていく!

 よく聞かれるのが、「アナになるにはコネクションがなければなれませんか?」という質問。これは私の経験上そうした人もいた。しかしやはり実力の世界、アナウンスの適正がなければ別の部署へ異動になったりする。または3年以内に退社していく。もっともコネがなくてもアナとして採用される人がほとんどだ。

 放送局の入社試験も番組出演オーディションもその試験内容はほとんど変わらない。大体は、書類審査を経た後、自己紹介&原稿読み&フリートーク&面接というのが一般的である。あるテレビ番組キャスターのオーディションでは、いきなり時事問題や漢字の読み書きといった一般常識テストを100問も出された。採用側は満点を期待していたそうだが誰も取れないほど難しかった。降板させられた前任者があまりにも一般常識を知らず、アナウンスにも支障を来たしたことからこのテストが行われたとのこと。

過度の写真修整は面接時に見破られる!

 入社試験や番組出演オーディションにはまず書類審査がある。ここで大事なのが「写真映り」だ。このプロフィール写真はプロがスタジオで撮影したものを用いるのが常識だ。ライティングで肌を綺麗に映したりするのは当然として、撮影後の写真を加工することも少なくない。歯並びの調整や顔の膨らみを画像ソフトを駆使して削ったり、目の大きさや左右のパーツのバランスの調整、髪のボリュームまで手を加える人もいる。

 もっとも、やり過ぎると書類審査で通過しても実際の面接で落ちてしまう。だからほどほどにしなければならない。写真撮影時に、カメラマンに「やり過ぎはよくないよ」と注意されたことがある。一方で、局や事務所によっては面接時、“素の状態”を見るために、インスタントカメラ等で撮影する場合もある。

歯並び矯正や二重まぶたへのプチ整形も!

 無事に局アナとして採用されても、入社前には歯並びを矯正するように言われた人もいた。フリーランスでも事務所に入る条件として八重歯を治すことや、一重まぶたからぱっちり目の二重まぶたにした人もいる。アナになる人なので元々美人なのだが、それでも修正前と後ではまるで別人のように美しさに磨きがかかっていた。

 ここまで書くと女子アナはやはりビジュアル勝負かと思うかもしれない。だがそうでもない。50人程が呼ばれたオーディションでは、元局アナの受験者が多いなかタレントが1人いた。スタイルも良くビジュアル的にも彼女が通過するだろうと参加者の誰もが思っていた。面接者の1人である男性プロデューサーもタレントの彼女に控室で話しかけたりしていたからだ。

 ところがそのタレントは落ちた。複数の女性面接官の反対にあい、アナウンス重視ということでビジュアルよりもアナウンスがうまい局アナ経験者が採用された。その元局アナは後からそのことを知り、「アナウンスは認められたけれど、容姿はNGだったのか」と悩んでいたという。

某テレビ局「妊娠されたら困るんですよ!」

 彼氏の有無、家族状況についても聞かれる。現在もラジオを中心に活躍する女性のフリーアナ(35)はその実態をこう語る。

「某テレビ局のオーディションで、『何人で暮らしていますか?』と質問されました。これは既婚なのか未婚なのかはっきりさせるための質問です」

 以下、そのフリーアナが数年前に受けた面接時の実際のやり取りだ。

面接者「お2人でお暮らしということは? どなたと?」
フリーアナ「夫と、です。夫と2人です」
面接者「これからお子さんを授かるかもしれませんよね?」

 ご主人と長いことセックスレスだったそのフリーアナは「いえ、絶対ありません」と答えた。すると面接者は少々怒った感じで質問を浴びせる。

面接者「なぜないんですか? 妊娠してすぐやめられても困るんですよ、うちは……」

 こうしたモラハラめいた面接も女子アナ界では常識なのか。しかし、まさか「セックスレスだから」と正直に答えるわけにもいかないだろう(なお余談だがこのフリーアナはその後離婚。今では再婚し幸せに暮らしているという)。

 局アナ採用、キャスター起用はアナウンス力が第一だが、ビジュアル面も影響するといったところか。しかし妊娠の可能性があると採用は難しいかもしれない。これはどこの局でも変わらないだろう。今後もその傾向は続くのではないだろうか。

(取材・文/田中那智美)