村上春樹の30年ほど前のコラムに、少年時代に近所の本屋でツケで本を買っていたという話が出てくる。それによれば、自分の育ったあたり(1960年代前半の兵庫県の芦屋)では子供がツケで本を買うということはさほど珍しいことではなかったらしい。その本屋では配達もしてくれて、春樹少年は毎月家に届けられる河出書房の「世界文学全集」と中央公論社の「世界の歴史」を一冊一冊読みあげながら10代を送ったという。そんなふうに子供