七十八歳、老境の素顔椎名誠『失踪願望』を宍戸健司さんが読む 二〇二二年の十月、プロレスラーのアントニオ猪木が亡くなった。子供の頃からプロレスマニアだった僕にとって、猪木はいつまでも「燃える闘魂」であり、決して死なない人だと思っていた。しかし、人間は残念ながら年を取る。日々、老いてゆくのである。椎名誠も僕の中では、そんな一人で決して年を取らない永遠の兄貴だと思っていた。 七