『撃てない警官』など多くの警察小説で知られる作家、安東能明さんの最新作『蚕の王』(中央公論新社)は、戦後の静岡県で起こった冤罪事件をモデルとした小説だ。静岡で冤罪というと「袴田事件」(1966年)を思い浮かべるかもしれないが、小説で描かれるのはその10年以上前に起きた「二俣事件」(1950年)という一家4人殺害事件。静岡ではその直前にも「幸浦事件」(1948年)という一家4人殺しが起きている。両事件では、被告人に
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『撃てない警官』など多くの警察小説で知られる作家、安東能明さんの最新作『蚕の王』(中央公論新社)は、戦後の静岡県で起こった冤罪事件をモデルとした小説だ。静岡で冤罪というと「袴田事件」(1966年)を思い浮かべるかもしれないが、小説で描かれるのはその10年以上前に起きた「二俣事件」(1950年)という一家4人殺害事件。静岡ではその直前にも「幸浦事件」(1948年)という一家4人殺しが起きている。両事件では、被告人に