ものすごい勢いで広がる「アイマス」ワールド。その中で異色を放つのが、プロダクション直属のシアターを舞台にした『アイドルマスター ミリオンライブ!』。全く「アイマス」を知らない人にも描かれているので、足を踏み入れるチャンス。

写真拡大

『アイドルマスター ミリオンライブ! 1』のコミックスが発売されました。
現在テレビでは『アイドルマスターシンデレラガールズ』が放映中。ローソンやロッテリアでもコラボが展開されています。
同じ「アイマス」と銘打ちつつも、パラレルワールドで展開しているのが、『アイドルマスターミリオンライブ!』。

正直、十周年を迎えた「アイドルマスター」世界は、複雑。
本家『アイマス』、『シンデレラガールズ』、『ミリオンライブ!』。加えて『ディアリースターズ』『ぷちます!』『SideM』などなど、パラレル派生が多いのなんの。
もうどこから手をつけたらいいのやら。

というわけで、今回入り口の一つとして『アイドルマスター ミリオンライブ! 1』をオススメ。
ここからなら、全く知識ゼロでも楽しめます。
題して「14歳から始めるアイマス」。
なぜ14歳かというとぼくの好きな伊吹翼ちゃんが14歳だからです。

●1・シアター形式の群像劇
『アイドルマスターミリオンライブ!』は、「劇場」の物語です。
50人所属している「765シアター」。いうなればAKBシアターのような芸能事務所おかかえの劇場。
固定のライブシアターでの登壇が話の中心、というのは、「アイマス」では初めてです。

先輩にあたるのが、AS(オールスター)組の、元祖「アイマス」の面々。
現時点では、「なんか先輩っぽい人がいるな」くらいで構いません。
数多くのキャラクターの中から、元気な春日未来、真面目な最上静香、自由気ままな伊吹翼という、個性バラバラな3人を軸に、物語が進みます。
ポイントは全員14歳だということ。とりあえず最初はこの3人だけわかればOK。

アイドルとしてまずは、765シアターの舞台に登壇するのが、一つ目の目標。
会話も多く、仲のよさそうなシアターメンバー。
見に来るのは765シアターのファン。多少の失敗は「新人だからなー」と見てくれる。
よその事務所が脚を引っ張ってくることも、今は特に無い。
一巻で描かれるのは、小さな村社会です。

●2・努力は才能にかなわない
ヒロインの一人、最上静香は登壇経験の少ない駆け出しアイドル。
時間さえあれば練習をしている少女です。

50人の中には自分より上の子はたくさんいる。
ダンスが得意なエレナという少女と一緒にレッスンしると、身体がついていかない。
同期の伊吹翼は、一回ビデオを見ただけで、最上よりもうまく踊れてしまう。

彼女は焦り、レッスンのしすぎで、本番当日高熱を出してしまいます。
ステージの幕は開く。そこには最上静香の姿はありません。

でもさー。チャンスがなくなったわけじゃないでしょ?
なぜ相談しなかったんだろう。何もかも自分一人で抱え込みすぎている。
14歳の少女たちの視野は、どうにも狭い。

だからこそ……できれば実年齢14歳の子に、読んでもらいたいな。
がんばっても更に優れた才能の人がたくさんいて、時間がなくて焦ってしまう、最上静香の苦しみ。どこかで体験したことがあるはず。
そして、何もかもが楽しく見えるもう一人のヒロイン、春日未来の感覚も、きっとどこかで体験したことがあるはず。

●3・コミック「ミリオンライブ!」の立ち位置
以下、『アイマス』『ミリオンライブ!』を知っている人向けの紹介です。
中身はゲームの「ミリオンシアター」の設定と基本同じ。AS組が先輩というのもほぼ変わりません。
しかし、ゲームのような「先輩とはいえほぼ同期」「お互い呼び捨て」な状態ではなく、明らかにAS組が大先輩になっています。
現時点でモブにもでていないキャラも多く、ゲームであったようなユニットも存在していません。

『アイドルマスター』劇場版で出てきた、矢吹可奈らをはじめとした先輩後輩設定は、完全にパラレル。別物ですので要注意。
(ちなみにテレビアニメ「シンデレラガールズ」とアニメ「アイマス」は世界観がつながっています)
数多くあるコミカライズの中で最も顕著な違いは、プロデューサーは補助する大人の一人で、顔すら描かれていない人間だ、ということです。これが何を意味するのか、現在は不明。

1冊目から、アイドルという職種の「温室の中での重たい現実」を描こうとしている『ミリオンライブ!』。
一通り抑えている人は、現在4巻まで出ているまな版コミック『アイドルマスター』と比較してみるのもオススメ。
10年めにあたる「アイマス」シリーズの、新機軸になりそうです。

門司雪 バンダイナムコゲームス『アイドルマスター ミリオンライブ! 1』
まな・高橋龍也『THE IDOLM@STER』4

(たまごまご)