サイボーグのためのロードムービー「アップルシードアルファ」が気持ちいい
現在公開中の映画『アップルシードアルファ』。
見る前は「なんでわざわざリアルCGなんだろう」とぶつくさ言っていました。
すいません、手のひら返します。
本当にサイボーグを描きたくて仕方ないんだな!
それはリアルCGでやるしかないわ。
アップルシードアルファ予告編
今回の映画は士郎正宗の案で、超シンプル。
原作マンガの前日譚です。
「廃墟化した世界」「サイボーグが一般的」の二点だけ分かれば十分。
一番の見どころは、双角というギャングのボス。全身サイボーグです。
おバカキャラな彼の表情へのこだわりが、半端じゃない。
完全鉄製の顔面。無数の鉄パーツが細かく出たり入ったりすることで、ころっころ変わる彼の感情を表現。
これ現実のロボット開発にも応用できるんじゃないかなあ?
元SWATのブリアレオスも全身サイボーグ。武骨な生き方が人気のキャラクターです。
数々の戦いを生き抜いてきているため、顔パーツは傷つきまくり。
現代のCG技術で見事に「新品ではない、使い込まれた歴戦のボディ」を描きました。
一方で世界再建を企む襲撃者タロスは、顔が金メッキ風のサイボーグ。性格良く出てる。
タロスの元で働く女性形サイボーグのニュクスは、ツルッツルのテッカテカ、新車みたい。脊髄のようなパーツが美しい。
ニュクスのしなやかなフォルムを見て「なんだか軽くて早そうだなあ」と思っていたら、ブリアレオスとの戦闘で彼女、ルチャリブレの技を繰り出します。
なんという非効率的な戦い方。サイボーグでそれがやりたかったんだな! いやー気持ちいい。
この映画、人間の容姿のキャラは4人しか出てきません。
しかも完全に人間なのは、ブリアレオスの恋人でありパートナーのデュナン・ナッツだけ。
後は鉄くずと銃と、サイボーグ。
『アップルシード』おなじみのランドメイト(強化外骨格)も登場します。
起きている事件は確かにハードかもしれない。でもデュナンとブリアレオスの二人は、死闘をかいくぐって来ているのは見ればすぐわかる。
映画のような事件に巻き込まれることは、多々あるんでしょう。
原作にある、人工島オリュンポスにおける理想郷管理問題や、政治的対立などの難しい設定は、ざっくりカット。
恋人二人のロードムービーに仕上がっています。
リアル3DCG技術の難関の一つ、重量感を出しきれていなかったのだけは惜しい。
特にブリアレオスはちょっと重そうなキャラなだけに、歩き方やアクションが少し軽いのが気になってしまいます。
今後とことんまで「サイボーグの重さ」映像を追求し続けてくれたら、さらによい映像ができるのではないかと期待。
さて、黒田硫黄のマンガ版『アップルシードα』は、「オリュンポスに行く前」という一点以外は映画と全くかぶっていません。
サイバーパンクSF世界の生きづらさを、「昭和枯れすすき」だとぶった切った作品。貧しさに負けたかー。
『アップルシード アルファ』BD
黒田硫黄『アップルシードα』
士郎正宗『【電子版】アップルシード(1)プロメテウスの挑戦』
(たまごまご)
見る前は「なんでわざわざリアルCGなんだろう」とぶつくさ言っていました。
すいません、手のひら返します。
本当にサイボーグを描きたくて仕方ないんだな!
それはリアルCGでやるしかないわ。
アップルシードアルファ予告編
今回の映画は士郎正宗の案で、超シンプル。
原作マンガの前日譚です。
「廃墟化した世界」「サイボーグが一般的」の二点だけ分かれば十分。
おバカキャラな彼の表情へのこだわりが、半端じゃない。
完全鉄製の顔面。無数の鉄パーツが細かく出たり入ったりすることで、ころっころ変わる彼の感情を表現。
これ現実のロボット開発にも応用できるんじゃないかなあ?
元SWATのブリアレオスも全身サイボーグ。武骨な生き方が人気のキャラクターです。
数々の戦いを生き抜いてきているため、顔パーツは傷つきまくり。
現代のCG技術で見事に「新品ではない、使い込まれた歴戦のボディ」を描きました。
一方で世界再建を企む襲撃者タロスは、顔が金メッキ風のサイボーグ。性格良く出てる。
タロスの元で働く女性形サイボーグのニュクスは、ツルッツルのテッカテカ、新車みたい。脊髄のようなパーツが美しい。
ニュクスのしなやかなフォルムを見て「なんだか軽くて早そうだなあ」と思っていたら、ブリアレオスとの戦闘で彼女、ルチャリブレの技を繰り出します。
なんという非効率的な戦い方。サイボーグでそれがやりたかったんだな! いやー気持ちいい。
この映画、人間の容姿のキャラは4人しか出てきません。
しかも完全に人間なのは、ブリアレオスの恋人でありパートナーのデュナン・ナッツだけ。
後は鉄くずと銃と、サイボーグ。
『アップルシード』おなじみのランドメイト(強化外骨格)も登場します。
起きている事件は確かにハードかもしれない。でもデュナンとブリアレオスの二人は、死闘をかいくぐって来ているのは見ればすぐわかる。
映画のような事件に巻き込まれることは、多々あるんでしょう。
原作にある、人工島オリュンポスにおける理想郷管理問題や、政治的対立などの難しい設定は、ざっくりカット。
恋人二人のロードムービーに仕上がっています。
リアル3DCG技術の難関の一つ、重量感を出しきれていなかったのだけは惜しい。
特にブリアレオスはちょっと重そうなキャラなだけに、歩き方やアクションが少し軽いのが気になってしまいます。
今後とことんまで「サイボーグの重さ」映像を追求し続けてくれたら、さらによい映像ができるのではないかと期待。
さて、黒田硫黄のマンガ版『アップルシードα』は、「オリュンポスに行く前」という一点以外は映画と全くかぶっていません。
サイバーパンクSF世界の生きづらさを、「昭和枯れすすき」だとぶった切った作品。貧しさに負けたかー。
『アップルシード アルファ』BD
黒田硫黄『アップルシードα』
士郎正宗『【電子版】アップルシード(1)プロメテウスの挑戦』
(たまごまご)