スタンプ帳は、駅構内のチラシ置き場やスタンプ台のところに置かれている。怪獣アートの第一人者、開田裕治氏の手掛けた表紙が目印。スタンプ台が置かれているのは始発から終電までのあいだ(スタンプ台をみどりの窓口内に設置している駅はその営業時間内)なので、夜中に駅にいってもスタンプは捺せないよ。

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東京都内、山手線を中心としたJR各駅でおじさんたちが遁走している!
なんのため? もちろんスタンプを捺すためだ!

JR東日本は、1月13日から「ウルトラマンスタンプラリー2015」というものを始めた。題材は『ウルトラマン』だけでなく、他に『ウルトラQ』『ウルトラセブン』『帰ってきたウルトラマン』というシリーズの4作品から全64怪獣(ウルトラ3人と異次元列車を含む)が選ばれ、スタンプとなって各駅に配備されている。

普通、JRのスタンプラリーっていうと夏休みにやるもんですよ。なぜなら、たいていのスタンプラリーは子供向けだから。スタンプ帳を手にした子供たちが駅構内を駆け回る。あるいは親子で一緒に電車を乗り継ぎ、目当ての駅でスタンプを捺す。微笑ましい光景ですなー。

だが、ウルトラ・スタンプラリーはちょっと違う! なにしろ『ウルトラQ』なんて初放映されたのが昭和41年だ。画面は白黒だぞ。子供が悪魔ッ子リリーちゃんとか知ってるはずがない。なので、このスタンプラリーは完全に当時を知ってる大人向け。だから開催期間も、正月休みが終わって大人が出勤しはじめてからのタイミングに設定されている。

このスタンプラリー、規程のルールに従ってスタンプを集めると、様々な景品がもらえることになっている。それは一般的なスタンプラリーと同じ。景品目的でスタンプを捺してまわっている人も多いだろう。

でも、スタンプラリーって景品欲しさだけではない、何か人を惹きつける魅力があるんだよね。

コレクション道ひと筋45年みたいな生き方をしてきたワタシからすると、あらかじめ集めることを前提として設計されたスタンプラリーに手を出すのは、コレクターとして負け、という想いがある。だけど……、だけど、だけど、誘惑に勝てずに捺してしまったよ、最初の一判を!

記念すべき最初の一判は、自宅の最寄り駅にあるジャミラ。人工衛星の事故でとある惑星にやむなく着陸した宇宙飛行士が、環境変化にともなう肉体の変異で醜い姿に変わってしまったという悲劇の怪獣だ。好きな怪獣がいつも利用してる駅のスタンプに選ばれているのって、なんかうれしいよねー。

全64駅コンプリートを目指す人は、端から一駅ずつ降りながらスタンプを捺していくものと思われる。その方が効率がいい。一方、そこまで本気じゃない人は、好きな怪獣が設置されている駅だけを飛び飛びでまわったりすることになるんだろう。

聞いた話では、ingressとウルトラ・スタンプラリーを並行してやってる人もいるらしい。たしかにそれは効率がいいかもしれないが、なんだかその人自身が「位置情報怪獣」になったかのようでもある。ハック、スタンプ、ハック、ハック、スタンプ、ハック、スタンプ、ファイヤー! みたいな。

ワタシの場合は、日々のラーメン活動や飲酒活動とセットで動くことが多い。

巣鴨の「新栄」へ激辛チャンポンを食べにいったついでケムール人を捺そう、とか。
亀有の「江戸っ子」へもつ焼きを食いにいくついでにガメロンを捺す、とか。
蒲田の「ニュータンタンメン本舗」とベムラーをセットで。あと瓶ビールも! とか。
赤羽で朝から飲んでグデングデンになりながらグドンを捺す、とかね〜。

ウルトラファン、怪獣ファンの熱い人たちが猛攻をかけていて、10駅達成でもらえる景品のアクリルスタンドは1月19日の時点で終了したらしい。それでも、他にまだ景品のチャンスはあるようなので、いまからチャレンジしてみても楽しめるはず。スタンプラリーは2月27日までやってます!
(とみさわ昭仁)