映画「KANO〜1931 海の向こうの甲子園〜」のジャパンプレミアレポで涙ぐむ永瀬正敏。

写真拡大

「僕は映画の中で『泣くな、泣くな』と言い続けています。ここで僕が泣く訳には……いかない」

永瀬正敏は、必死になって涙をこらえていた。

「素晴らしい現場というのは、大変なことはいろいろあっても、きちっと、みんなが同じ方向を向いています。『KANO』のストーリーと同じような現場だなと思って、そこにすごく感動しました。家族みたいなチームでした」

撮影現場の印象を質問された坂井真紀は、笑顔でそう振り返った。

笑う坂井、涙ぐむ永瀬。
昨日、都内で行われた台湾映画「KANO〜1931 海の向こうの甲子園〜」(1月24日公開)のジャパンプレミアにおいて、坂井真紀と永瀬正敏は対照的な表情を見せていた。

映画「KANO」は、1931年、日本統治時代の台湾から甲子園に出場して決勝にまで勝ち進んだ、日本人、台湾人(中国大陸から移住した漢人)、台湾先住民による「嘉義農林学校野球部」<KANO>の活躍を描いた、実話をもとにした物語だ。

映画の中では、永瀬が嘉義農林学校野球部を甲子園に導く鬼監督・近藤兵太郎を、坂井がその妻を演じている。

この日のジャパンプレミアでは、監督のマー・ジーシアン、プロデューサーのウェイ・ダーション、そしてエースで4番という役柄を演じたツァオ・ヨウニン、強打者でセンターのチェン・ジンホンの4人も台湾から駆けつけ、制作中の苦労話や永瀬との思い出を振り返った。

「こういうイベントがなくなると、みんなに会える機会が少なくなっていく。それがすごく寂しくって。また何か企画してくれないかなぁ……みんなに会えなくなるのは嫌ですね。まぁ、スクリーンの中では会えるんですけど」と永瀬。5ヶ月以上に渡った撮影期間を通じて、演者やスタッフとの強い絆が生まれたことを紹介する。

また、主題歌「風になって〜勇者的浪漫〜」を歌うRake(作詞作曲も担当)と中孝介も参加。集まった観客の前で主題歌を熱唱したが、この間、永瀬は少しうつむき加減で曲にあわせて手を振っていた。

「去年、(物語の舞台である)台湾・嘉義市でプレミアイベントを行ったときにもこの曲を聞きました。あの日は数えられただけでも6万人、実際には10万人いたんじゃないか、というイベントでした。別な試写会イベントでは宣伝部やスタッフの方がみんなでこの曲を大熱唱していたんですね。そのことを思い出して、自分たちの映画と主題歌をすごく愛しているんだな、と。それを思うと泣きそうになって……」

と、涙をごまかずために手を振っていたことを明かす。

ところがこの後、劇中での教え子たちから寄せ書きと手紙が“監督”の永瀬のもとにサプライズで届けられると、もう我慢の限界に。

「(この映画を通して)演技が好きになって、演技を続けたいなと思いました。機会があれば、ご縁があったら監督とまた映画をやりたいと思っています。また教えていただきたいです」という教え子の手紙が読み上げられたところで、冒頭の「ここで僕が泣く訳には……いかない」という言葉につながっていく。

「台湾の皆さんに感謝です。本当にありがとうございます。こんな、温かい、子どもたちに………あの……嬉しいです。1月24日、初日にまたお会いしましょう!」

映画「KANO〜1931 海の向こうの甲子園〜」は1月24日(土)から全国公開される。

映画「KANO〜1931 海の向こうの甲子園〜」
2015年1月24日(土)新宿バルト9他全国公開
(C)果子電影 配給:ショウゲート

(オグマナオト)