「ユリ熊嵐」2話「このみが尽きても許さない」、怒涛の展開でした。ガウガウ。
月曜深夜アニメ「ユリ熊嵐」(TOKYO MXほか)。2話「このみが尽きても許さない」が1月12日に放送された。※1話がGyaO!で無料配信中

「残酷な熊の攻撃により、泉乃純花さんの地上での生が、終わりを迎えました」
1話で姿を消してしまった純花。お別れの会が嵐が丘学園で行われるが、そこに紅羽の姿はない。生徒代表で弔辞を述べる蜜子は、銀子とるるの姿を見つけて息をのむ。
「間違いないわ。あの2人の転校生はクマだった!」

いつもと違う蜜子の様子を不安がるこのみ。このみは蜜子が「スキ」。蜜子が紅羽に執着していることを問い詰める。
「泉乃純花が死んだ今、次はあの子で決まりなのに!」
「透明な嵐」に襲われるであろう紅羽に関わることで、蜜子が巻き込まれるのを恐れているのだ。押し倒し合う2人……(百合)。

紅羽の家に押しかける銀子とるる。銀子は紅羽をソファに押し倒す(百合)。
「紅羽のスキは本物だ。ガウガウ」
「あなたに何がわかるの!?」
「わかるよ。私のスキも本物だから。……ガウ。椿輝紅羽。会いたかった……私たちは君に会うためにここに来たんだ」
想いを遂げようとする銀子。しかし、乱入してきた蜜子によって阻まれる。逃げる銀子とるる、追いかける蜜子。1人残された紅羽の携帯が鳴る……。

想像していたのより3倍くらい上の速度でガンガン突き進む「ユリ熊嵐」。ま、まさかあのキャラもクマだったなんてー!(棒読み)
怒涛の展開や明らかにされた謎について深読みする視聴者が後を絶たないが、なんだか1周まわって「百合、サイコー!」みたいな気分になってきた。それくらいエッチな百合アニメだ。30分間に女の子が3回押し倒されている(3回目は押し倒しというより、のしかかりと言うべきだろうか……?)。

「ユリ熊嵐」は百合アニメだ。
どうしてこんなにも、今、百合なのか?
1月8日に発売された『ユリ熊嵐 公式スターティングガイド』の対談記事で、幾原監督はこのように発言している。

〈幾原 例えば、「愛」について描きたいと思ったとする。今、男女のキャラクターで恋愛を描くのは難しいと思う。「愛」ということ自体が、男女の関係で描こうとした途端に、もう「ネタ」じゃないですか。(中略)でも、百合というジャンルに飛び込んで、メタファーとしていろんなものを表現すれば、愛は非常に描きやすい。現代で愛を描くには百合というジャンルはとても良いな、と思ったんです〉
〈幾原 すごくいろんなフィルターをかけないと、なかなか男女の愛は描けない。ストレートに描いたものがない〉

前作「輪るピングドラム」は男女キャラクターで描写された「愛」のお話だった。それをさらにストレートに描こうとしているのが「ユリ熊嵐」なのかもしれない。「確かにめっちゃストレートだ!」と叫びたい自分と、「アッハイ……これでストレートなんですね……」と呆然とする自分がいる。

ちなみに、「少女革命ウテナ」のオーディオコメンタリーでも、幾原監督は百合について話している。

〈幾原 世界中の同性愛の人が(「ウテナ」を)好きだよね。(中略)ちょっとエロちっくなものはあるけど、これだけピュアにドラマをやってる女の子2人の話っていうのは他にないでしょう、たぶん。そういう意味では唯一だから、支持されてるんだろうなって思います〉

この百合的な企みは、キャラクター原案と漫画版を担当していたさいとうちほとの激しい衝突を生んだ。「企画がなくなるかもしれない」くらいの危機的な大喧嘩に発展、幾原は急性胃腸炎になった。
時代が流れて2015年。幾原は「ピュア」かつ「エロちっく」な女の子たちの物語を描こうとしている。

『ユリ熊嵐 公式スターティングガイド』(1月8日発売)
キャラクター設定(パンツの設定もアリ)、キャスト&スタッフインタビュー、幾原邦彦×森島明子対談、美術ボードなど充実の内容。『羆嵐』との関連や「透明な嵐」についてあっさり語られていたりするのでファンは必読。

(青柳美帆子)