いまネット上でもっとも危険な8人

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今年気をつけるべき、ネット上の最危険人物、全8人(危険な組織も含む)のリスト。スノーデン、コーディ・ウィルソン、プリート・バララとは、何者か。

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インターネットに隠れた危険や脅威を、すべて的確に予告できたらどんなによいだろう。そう、例えば、映画『ロスト・イン・スペース』に出てくるロボット「B-9」のように。

しかし、残念ながらそんなものは存在しない。わたしたちは自らの責任で注意するほかないのだ。

ないものはしょうがない。わたしたちは、今年気をつけるべきネット上の要注意人物たちのリストを作成した。以下8項目を挙げたリストには、人物だけでなく、現在の社会体制を揺るがすという意味で危険な組織も含めた。

1.国家安全保障局(NSA)

本来、NSA は「注意すべき」というべき存在ではない。そもそもこの機関は、われわれの利益のために──少なくとも米国民の利益のために──あるのだから。ところが、NSA とその英国パートナーである GCHQ による諜報活動がここ18カ月の間に発覚し、その活動がインターネットに対して真に脅威であることが浮き彫りになった。

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NSA の任務は、国家安全保障にとっての脅威となりうるターゲットの無線諜報だ。しかも、製品の裏口インストール、暗号化基準やアルゴリズムの弱体化、電気通信網の総ハッキング、Google や Yahoo など民間企業の海底ケーブル傍受など、この機関がいかに危険であり制御不能であるかが見て取れる。

インターネットという未開拓の荒野において、NSA は最強のアウトローかもしれないのだ。

2.ハリス・コーポレーション+連邦保安官局

米ハリス・コーポレーションと連邦保安官局 (United States Marshals Service)は提携し、当局によるいわゆるスティングレー技術の使用情報を衆目から隠蔽するに至った。

この技術は、電話の基地局を偽装して携帯電話などのデヴァイスを欺き、接続させ、その位置を露わにするものである。 連邦当局と各自治体の地元警察はこの装置を長年利用してきた。裁判所を通さずに使用したり、使用に関して裁判官を欺いたりするケースもある。

この事実についてハリスは、NDA によって裁判官にさえ他言できないのだと言っており、いったい誰がこの機密事項を管理しているのかを知るのは困難だ。この専有機密を競合他社から守りたいハリスなのか、それとも、容疑者たちがこの装置に対する対策を講じるのを憂慮する当局なのか。

Rena Schild / Shutterstock.com

3.エドワード・スノーデン

「危険人物」かもしれないし「最高のヒーロー」なのかもしれない。あるいは、その両方かもしれない。この NSA 告発者による18カ月に及ぶリークによって世界が知ったのは、 NSA の非合法な通話記録収集、一般市民のみならず米国政府自体が使用していた暗号化技術を解析し弱体化する試み、顧客データを得ようとして行われた Yahoo や Google への秘密裏のアクセス、ネットワークに介入するための電気通信システム管理者に対する攻撃的なオペレーションの数々であった。

スノーデンの振る舞いに対しては、賛否両論がある。テロリスト予備軍やその他米国の敵に重要な情報作戦を暴露し、国家を危機にさらしたと見る者もいれば、法の網をかいくぐるプログラムや大量の通話記録が収集されるプログラムをまとめてもみ消そうとした NSA の行為に光を当てたと見る者もいた。リークが始まってから1年以上が経過したが、暴露はまだ続くであろう。

4.金 正恩

果たして北朝鮮がソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントに対するハッキングの背後にいるどうかはまだわからない。しかし、映画『ザ・インタビュー』の映画館・ネット上での公開を停止に追いやったこの事件について、金 正恩(キム・ジョンウン)がなんらかの責を負うことが想定される。

映画ファンは長年、映画館での封切りと同時にビデオオンデマンドで映画を公開するスタジオに期待してきたが、これも今回の脅迫行為を受け、わずか数日でつぶされた。これはかの国が核兵器の危険な武器庫を有するということだけでなく、危険な市場介入者であるということを意味する。

5.コーディ・ウィルソン

コーディ・ウィルソンは若干26歳であるが、これまででもっとも物議を醸したであろうデジタルプロジェクトで、そのキャリアを確立した。ラジカルな自由主義者であるウィルソンは、3Dプリントが可能な銃 、Liberatorのクリエーターとして出現した

彼の目的は、世界中どこにいても誰もがプラスティック殺傷兵器を作成できるようにすること、それによって新しい技術が規制という概念全体をいかに陳腐化させうるかを示すこと、である。

最近ではアミール・ターキ(後述)と手を組み、ビットコインを追跡不能にするアプリ、ダークウォレットを開発している。10月には、シンプルな青写真から AR-15(M16 としても知られる小口径自動小銃)用金属ボディを誰もが作成できるよう設計されたコンピューター制御のミリングマシン、Ghost Gunner を開発した。

コーディ・ウィルソン(写真左)とアミール・ターキ。写真は過去記事「ビットコインの資金洗浄ソフト『ダークウォレット』を、なぜ彼らはつくったのか」より。

6.アミール・ターキ

主要な金融機関でビットコインが利用され導入されるようになるにつれ、アミール・ターキはこの暗号通貨にそのルーツである独自性、制御不能性、高い破壊性を取り戻そうとした。この思想犯罪の相棒コーディ・ウィルソンとともに、ターキは、ビットコインが追跡不能に利用でき、ウェブ経済の裏側で、法律すれすれで使用できるよう設計されたプログラム、ダークウォレットの開発を主導した。

今年の初めに彼はトロント・ハッカソンで、ビットコインのダークマーケット(「Silk Road」のような、ただし中央サーヴァーや管理者のない完全ピアツーピア市場プロトタイプ)のコード化によって優勝した。これは、当局の取り締まりを実質的に逃れるオンラインブラックマーケット商取引を可能にするものだ。

7.ヴェルト

Silk Roadに続く「Silk Road 2.0」の摘発によって、ダークウェブの監視の目はこれらネット上の匿名マーケットの後継となる「Evolution」に向けられた。この闇サイトの黒幕こそが、ヴェルトという名で通るブラックマーケットの中心人物であり、盗まれたクレジットカード番号の匿名マーケットプレイス「Tor Carding Forum」を主催した人物でもある。

Silk Roadシリーズの Dread Pirate Roberts または Defcon のような話し好きの管理者とは異なり、ヴェルトは Evolution が22,000以上もの商品リスト(その大半が違法な商品だ)を有するようになるにもかかわらず露出を避けている。 そして、ドラッグや偽造文書の取引に特化した Silk Road と違って、Evolution は武器や盗まれた銀行口座認証をも扱い、ヴェルトの支配下ではダークウェブがさらにダークになりうることを示唆している。

image from Wikimedia

8.プリート・バララ

ネット上のどこかで高レベルの犯罪を犯して逮捕される…。あなたがそんな悪夢を見ることがあるとすれば、そこにプリート・バララが登場する確率は高い。バララはニューヨーク南地区をコンピューター犯罪事件のトップ管轄区域にし、ここ数年でもっとも高レベルの重罪事件として、Stratfor 社ハッカーであるジェレミー・ハモンやその同盟である Silk Road の主催者ロス・ウルブリヒトらを起訴した。さらに、MEGAUPLOAD の創設者キム・ドクトムの引渡しを要求中である。

2014年、彼は多くのダークウェブ市場を摘発した「オペレーション・オニマス(「非匿名化作戦」)」において米国司法省の役割を監督する立場にあった。司法長官エリック・ホルダーが辞職し、バララの名前は司法職トップの最有力候補として浮上した。ハッカーたちは要注意だ。

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