日間賀島のたこで作ってみた「たこめし」。醤油や味醂がしみていて、そのままご飯と一緒に炊けばできあがるタイプのもので作ってみた。たこがやわらかく、噛むほどに味が出てとてもおいしい。

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ドラマ「孤独のグルメ」Season4はとにかく五郎が歩く。料理もさることながら旅番組らしさが強調されているのだ。例えば第3話「神奈川県足柄下郡箱根町のステーキ丼」を思い返して欲しい。仕事を終えた五郎は箱根の地図を手に入れた後、「道草こそ、旅の醍醐味だ」とけもの道っくな散歩道を歩き回る。さらに地図を見て温泉に行きたくなり、ブランコに乗り、腹が減る。お店の看板に従って行こうとするも迷い、歩き回る。

第5話「愛知県知多郡日間賀島のしらすの天ぷらとたこめし」では、依頼人の山下にふりまわされる。港に行けば日間賀島に行ったと言われ、日間賀島西港のチケットセンターに行けば東港の民宿に行ったと言われ、民宿に行けばしらすやに行ったと言われ(ここで美脚のたこをちょっとつまむ)、しらすやに行けば観光ホテルに行ったと言われる。その間をレンタル自転車で五郎は走り回るのだ。

そうして五郎が走り回ることで、より「腹が、減った」という台詞に飢餓感が生まれる。と同時に、その土地の光景を見て回る旅番組のような効果も出ているのだ。それはさながら、自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」で、レースを見ているはずなのだけれども気がつけば美しいフランスの景色を楽しんでいるような。今回は特に自転車で島内を走り回っていたし。

だからこそ、Season4では今までのように関東近郊中心ではなく、遠出する回が多いのではないだろうか。5話の日間賀島もそうだし、9日(土)には博多出張スペシャルが放映される。

未知の場所に行くときには、拠点というかランドマークがあった方が行動しやすい。例えば日間賀島に行ったことがない人でも、今回のお店「乙姫」という名前は印象に残ったと思うし、そこを拠点に行動しようと思うのではないだろうか。

そう思うと、以前のレビューで孤独のグルメは常連をつくるドラマとしたが、そこにプラスして孤独のグルメは観光案内でもある。お店に行って五郎と同じものを注文する人は、ドラマ中の行動ルートもなるべくトレースしようとするだろう。

というわけで、第5話を見て日間賀島へ行きたいと思った人に向けて、少し島の紹介をしよう。実はこの島は、いろいろなバラエティ番組や映画などで「ひっぱりだこ」の島でもある。映画「ビルと動物園」のロケ地だったり、バラエティ番組にもたくさん出ている。マンガでは「高杉さん家のおべんとう6巻」に登場。小説では「すべてがFになる」の舞台になった愛知県沖の孤島「妃真加島」もこの日間賀島がモデル……では、残念ながらなく、隣の佐久島。日間賀島からは名前を借りただけだそうだ。

そんな日間賀島は漁業と観光の街。面積は0.77平方kmとそんなに大きくなく、ドラマ中にもあったように自転車で一周できてしまうし、徒歩でも簡単に一周できてしまう。漁業は主にたことふぐが有名で、「たこ=多幸」と「ふぐ=福」と縁起がいい。海水浴が楽しめるサンライズビーチとサンセットビーチがあり、体験漁業やイルカとふれあい体験なども楽しめる。

やっぱり島に行ったら食べたいのは「たこめし」だろう。日間賀島のたこはワタリガニを食べて育つので、やわらかく、味がいい。自分より高価なものを食べている非常に贅沢なたこなのだ。このたこで作ったたこめしは絶品で、五郎が夢中になって食べるのもわかるというもの。五郎が行ったお店「乙姫」だけでなく、名物だけあって島のあちこちで食べることができる。

たこめしが気に入ったら、お土産用のを買うこともできる。たこの姿まんまの干物のものもあれば、箱パッケージのものなど、種類と大きさはさまざまだ。ただし実は日間賀島産ではないものもあるので、、パッケージのものはよくラベルを見てみよう。

日間賀島へは名古屋から電車と船で1時間足らずでたどり着ける。ちなみに五郎が到着し、「乙姫」などがあるのは島の西港(ついでに高杉さん家のおべんとうに出てくるのも西港)だ。孤独のグルメファンで夏休みの予定がまだ決まっていないのなら、ドラマがいかに丁寧に島を紹介していたのか観に行くのもいい。
(杉村 啓)