寒いときの「鴨南」、おいしいですよね。

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寒くなると、無性に食べたくなる鴨南蛮。
良い蕎麦屋で食べると、もちろん美味しいけれど、どうしても値が張る。かといって、SAや大衆食堂、フードコートなどで安価な鴨南蛮を見つけて、とびついてみると、ガッカリな味……ということにもなりがちだ。

蕎麦は値段と味が比例する店も多いが、悲しいかな、鴨南蛮はとりわけその印象が強い。
だから、日清食品冷凍の「冷凍 日清のどん兵衛 鴨南蛮そば」を初めて食べたときは、少々衝撃だった。
「冷凍そば」というだけであまりテンションが上がらなかったのに、食べてみると、かなり本格的な味である。おそらく炭火焼のネギの香りがキモなのだろう。麺と出汁のからみも良い。
と思ったら、昨年夏には日清食品のカップ麺「日清のどん兵衛 鴨だしそば」がリニューアル発売された。ネギが、甘く柔らかい食感の下仁田系ネギに変わったらしい。
さらに、昨年10月には、日清麺職人からもカップ麺で「鴨だし和風しょうゆ」が発売された。これは、蕎麦屋のまかないから生まれた山形の名物「鳥中華」をイメージしたものという。

このところ、日清では、鴨だし商品が続々登場しているけれど、鴨だしに力を入れているのだろうか。もしかして冷凍の鴨だしノウハウをカップ麺に投入し始めたのだろうか。
日清食品ホールディングス広報担当者に聞いた。

「『日清のどん兵衛 鴨だしそば』は2009年2月に発売。鴨だしの効いたやや甘めのつゆに、具材の大ぶりなネギの風味も合わさり、奥行きのあるつゆとなっているのが特徴です。きっかけは、2008年の9月より『日清のどん兵衛』のそばがすすり心地のよりまっすぐな麺に変わったことで、まっすぐなそばに合うメニューとして冷凍食品で売れ行き好調な『鴨だしそば』をカップ麺で発売しようということになったことです」

日清食品冷凍の鴨なんばんは、1999年から発売されたもので、少しずつ改良を重ねてきたそう。冷凍のノウハウが応用されているのかと聞くと……。
「開発グループが異なるので、冷凍の鴨だしそばのつゆをそのままカップ麺で再現したわけではありません。意識していないとは、正直言い切れませんが、それぞれ別のブランドですし、商品開発の基軸として考えていることは別です。そもそも冷凍食品の目指すものと、カップ麺のどん兵衛の目指すものとは異なります。商品を常温できるかどうかで、実現できるレベルが違ってくるのです」

どん兵衛では、「フライ麺特有の香ばしさに合うスープ」を追求しているそうで、2013年8月には鴨のうまみをさらに感じられる上品な味わいのつゆに変更したそう。
ちなみに、同時期より「日清のどん兵衛鴨だしそば」単独でのテレビCMも開始。通常は
「日清のどん兵衛」ブランドとしてのテレビCMと年末にそばをメインとしたテレビCMの他、日清のどん兵衛カレーうどんのCMを春〜初夏に打つが、単独商品のテレビCMは稀だと言う。

冷凍食品の「鴨だし」が売れている実績は刺激を与えているものの、そのノウハウを共有するわけではなく、別々の開発チームが別々のアプローチで力を入れ、次々に生まれている日清関連の「鴨だし」商品。それぞれの美味さがあるようです。
(田幸和歌子)