By Shaun Amey

世界一の記録を集めたギネス世界記録が認定している「世界一辛いトウガラシ」、現在その座に君臨するのは2011年に認定されたトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーです。これは防護服無しには調理できないほど激辛のトウガラシ、とのことですが、なんとこのトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーを上回る辛さのトウガラシがアメリカで発見されました。

So God Made the World's Hottest Pepper - Nicholas Hunt - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/health/archive/2013/09/so-god-made-the-worlds-hottest-pepper/279749/


そのトウガラシの名前は「Carolina Reaper(キャロライナ・リーパー)」。Ed Currie氏が栽培しているこのトウガラシは、トウガラシの辛さを測る単位スコヴィル値が約300万スコヴィルに達し、トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーのスコヴィル値146万3700を遙かに上回る数値をたたき出しています。激辛トウガラシとしてよく知られる「ハバネロ」のスコヴィル値は最大35万スコヴィル程度なので、キャロライナ・リーパーの辛さが想像を絶するレベルのものであるということだけはわかります。ゴツゴツした見た目を持ち、熟した際にはキレイな赤色に染まるこのトウガラシですが、逆にその赤さが辛さを象徴するようです。


そもそも激辛トウガラシブームの火付け役的存在のハバネロが20年前に世界一の称号を得ていたときのスコヴィル値は、約57万スコヴィル。当時は「これ以上に辛いトウガラシは作れない」と信じられていましたがその後、世界初の「Super Hot」の領域(スコヴィル値が100万以上)に入ったブート・ジョロキアが発見され、その後もインフィニティ・チリ(106万スコヴィル)やナーガ・ヴァイパー・ペッパー(138万スコヴィル)、そして約150万スコヴィルのトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーなど多くの激辛トウガラシが発見されてきました。

そんな中で、激辛トウガラシを栽培することに挑戦する「Chiliheads」と呼ばれるコミュニティのような、常により辛いトウガラシの種子を求め、それで一獲千金を狙う者たちもいます。特にアメリカ国内では、「これが世界一辛いトウガラシの種だ」といって種を販売する業者も多く存在します。しかし、Currieさんがキャロライナ・リーパーを栽培するのはそのような目的ではない、とのこと。一時期は激辛トウガラシを栽培するコミュニティを敵に回したこともあるCurrieさんですが、本当の理由は彼の家系に関するところからトウガラシ栽培に関わるようになったそうです。心臓発作とガンの家系にあるCurrieさんは研究の結果、辛い物を食べることは病気の発生リスクを下げる作用があるということを発見したことから、トウガラシの栽培を始めました。Currieさんは「これは、神様から与えていただいた『ギフト』です」と語っています。

By Primo Calabrese

また、ギネス世界記録の「世界一辛いトウガラシ」部門には、大量のトウガラシたちからの申請が届けられているとのことで、その結果認定作業は追いつかず、世界一辛いトウガラシの称号は「無法状態」となっているといわれています。さらにスコヴィル値の測定方法には、一定期間の間で栽培されたトウガラシの平均値を取る方法と、1つの個体から辛さを測定する方法の2つが存在しており、これが混乱の原因になっているようです。

「ハバネロの5倍以上の辛さ」といわれても、にわかに実感できないレベルの辛さであることしか想像できませんし、思わぬ騒動に巻き込まれているキャロライナ・リーパーですが、ギネスの行方が気になるところです。

By Clotte Allochuku