相場の底上げがある程度進むと、投資家はいっせいに割安株探しに走る。配当やキャッシュフローなど割高・割安を判定する指標は数多いが、最も手堅いのがPBR(株価純資産倍率)。低PBR銘柄は、短期急騰はしない代わりに下値リスクが限られるのが特徴だ。

高砂熱学工業(東証1部・1969)
837円/100株 8万3700円
ビルや工場の空調設備を設計から完成後のメンテナンスまで引き受ける。アジア事業が拡大中。

日本信号(東証1部・6741)
750円/100株 7万5000円
信号メーカーという限られた分野だが、トップ企業。駅ホームドアの拡大に期待感あり。

郵船ロジスティクス(東証1部・9370)
919円/100株 9万1900円
日本郵船系の総合物流会社。ヤマトホールディングスと親密。米国景気の回復で株価一段高へ。

裏. 買いたくない10万円株

業績低迷に構造要因。不祥事企業も圏外

10万円以内の予算で買えて、規模が大きく知名度も高いのにお勧めできない銘柄がある。企業や株主の皆さんには申し訳ないが、筆者が今のことろ、自分で買う気になれない企業を3社ほどピックアップしてみた。
まず、連続赤字会社は論外。トヨタ自動車でさえ赤字転落はあるが、連続赤字となれば話は別。投資するなら黒字化が見えてきたらでかまわない。
売上高の減少が止まらない会社も遠慮しておきたい。やはり投資は「右肩上がり」を買うのが王道である。リストラで黒字をひねり出せても、縮小均衡には限界がある。半導体など構造的に問題のある事業分野もあり、そもそも個別企業の努力で赤字を解消できるかを疑って考えてみよう。
情報開示で問題を起こした会社もパス。不祥事があっても当事者が全員クビになるケースは皆無に近い。企業訪問経験から言えるが、こういう企業はゴマカシや無責任が社風として定着し、役員から末端の若手社員まで染み込んでいるケースが少なくない。投資先企業はほかにいくらでもある。

日本板硝子(東証1部・5202)
101円/1000株 10万1000円
英国ピルキントン社を買収した後、社風も業績もすっかり変わってしまった。連続赤字。

ACCESS(東証マザーズ・4813)
7万4800円/1株 7万4800円
ドコモグループだが、売上高はここ3年で半減。再成長シナリオがわかりにくい。

京王ズホールディングス(東証マザーズ・3731)
336円/100株 3万3600円
社長が会社資金を流出させ、個人的に使った前歴あり。今も特設注意市場銘柄指定だ。

※ACCESSは2013年8月に売買単位を100株に変更。

植草まさし
経済ジャーナリスト

外資系証券を経て、独立。兜町、日本橋界隈を練り歩いて取材し、濃い株式情報を集める毎日。政財界への人脈も広く、マーケットの裏も表も知り尽くす。



この記事は「WEBネットマネー2013年9月号」に掲載されたものです。