ジーク・ジオンの声は男女5人、ORIGIN版ララァの秘密 - 意外な裏話も明かされた池田秀一×潘恵子「シャアを語ろう!」 (1) 「インドの難民になろう、ルーレットのアテ師になろうと考えて演じたのを、安彦さんに話した」

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東京お台場の『ガンダムフロント東京』にて開催中の「機動戦士ガンダムの誕生とシャア・アズナブル展」にて、スペシャルナイト第1弾として「シャアを語ろう!」池田秀一×潘恵子トークショーが5月10日に行われた。シャア・アズナブルとララァ・スンを演じた2人が34年を経て語る、赤い彗星とその誕生秘話とは? 時効(?)なのか意外な裏話も続々飛び出し、大きな笑いも巻き起こるイベントとなった。

万雷の拍手に包まれて登壇した池田秀一と潘恵子。まずは「機動戦士ガンダムの誕生とシャア・アズナブル展」の感想を求められ、池田は「懐かしかったです。台本などはとっておいてないです。とっとけばよかったなと(笑)」と、実にもったいないことを! 潘は「映画のはとってありますよ!」と、これまたTVシリーズアフレコ台本は処分してしまっているもったいない告白を。また、昔は終わったセル画をくれたそうで、池田は「今こういうことになるって分かってたらとっておけばよかったです」と語る一方、潘は「私は今でもセル画を持ってます。サインするんで買ってください(笑)」と物持ちのよさをアピールした。

会場には実物大のストライクフリーダムガンダムの上半身やシャア専用ザクIIの頭部などが展示されていたのだが、それを見た潘は「ザクの頭大きいよね〜。あれ(ストライクフリーダムの頭)より大きいんだから、私たち(ジオン軍)勝ってた! 何で負けたんだろう?」と、池田に訊ね、池田が答えに窮する場面も。ええ、わりとシャアのせいですよね……。

シャアという役との出会いについて、池田はオーディションで実はアムロ役も受けていたことを語り、「でも僕はああいう軟弱な男はちょっと」と(場内笑)。確かに1979年当時の感覚でいえば幼稚園児だった筆者でさえ”アムロはカッコ良くない”と思っていたぐらいで、画期的な人物像ではあるものの、当時の男の考える男のあるべき姿とは大きくかけ離れていたことを思い出す。ではシャアは、というと、役作りには何の苦労もしなかったそうだ。第一話の頃は映像も先にできていて、見ながらやれたのでまだアニメの声優としてはほぼ新人(ガンダムの前に『無敵鋼人ダイターン3』でゲスト出演が1回あった)だった池田はやりやすくてよかったと語る。

ララァの役作りについて問われた潘は、先にイセリナ・エッシェンバッハ役で出演していて、イセリナが死んで終わったと思っていたら、ララァで呼ばれ、その時は全話の2/3が終わっていてアフレコ現場も連邦とジオンに別れて固まっていたので入りづらかったそうだ。でも、左遷されたシャアが連れてきた女性ということで、何も知らないでいいんだ思ってシャアのことだけは知っておけばいいという感覚だったとか。また、当時はララァの人物設定にバックボーンらしきものがなく、演じる潘自身が考えたそうで(ララァの額の赤い印から)「インドの難民になろう、ルーレットのアテ師になろう! と考えて演じていたのを、だいぶあとになって安彦良和さんに話したら漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』でそういう風に描かれていて、伝わっていたんだなと安心しました」と何気に重大な情報を公開。富野由悠季監督の小説版と同じであろうアニメと違っているオリジン版ララァの設定に潘の役作りが関わっていたようである。また、当時はララァがどこからきてどこへ行くのかを考えていて、もっと長生きしようと思っていたら(戦死して)途中でいなくなってしまったと笑う。

そして、ガンダムが人気急上昇した当時の反響について、池田はエライことを話し始める。

池田:「人気が出てきて、アフレコスタジオの外に出待ちが2〜30人いるようなことになって。ところがスタジオの隣がラブホテルだったんです。それで、ホテルから怒られたんですよ。出待ちのせいでウチは客が全然入らないじゃないかって」(場内爆笑)