山田隆道の幸せになれる結婚 (24) 「結婚相談所」のおそるべき精度と利点

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独身時代、ある仕事の縁で某結婚相談所の特性分析を受けたことがある。

いくつかの質問に答え、さらに簡単なカウンセリングも受けることで、婚活の専門家が僕の結婚相手に適した女性のタイプを診断してくれるというものだ。

その結果、僕はまず次のように性格分析された。

「山田さんは非常に相手のことを考えて行動し、他人とのコミュニケーションは上手にとります。

ただし、相手のことを考えすぎて、恋愛や結婚に踏み切れないこともあるかもしれません。

草食か、肉食かでいうならば草食です」その他、「他人と協調したいという思いが強い」や「自分と異なる意見を受容できる」などといったことを指摘され、あらためて自分を見つめ直した。

確かに僕には周りを必要以上に気にかけてしまう傾向があるのだが、それは「他人への思いやり」というより「他人に嫌われたくない」という極めて気の小さい理由からだ。

したがって、一見他人に同調していても、腹の中では自分の考えを一切曲げていないということが多いのだ。

だから、その性格分析結果に記されていた「山田さんの苦手なタイプは物事を自分の思い通りに進めようとする人」という文言には、深く納得させられた。

僕のようなタイプの人間が「物事を自分の思い通りに進めようとする女性」と結婚したら、その女性にさえも嫌われたくないと思うため、本心とは裏腹に相手にしたがってしまう。

しかし、それでも内心は自分の考えがしっかりあるものだから、本意ではない行動を取り続けるストレスが積み重なっていき、やがて精神を壊してしまうというわけだ。

そして、そんな性格を踏まえて、お次はいよいよ僕に適した結婚相手の特性分析結果である。

当時の資料をあらためて読み返してみると、こう書いてあった。

「山田さんに適した女性は、山田さんと同じ特性を持った女性でしょう。

具体的には場の空気や相手の心情変化を敏感に察知し、気遣いができるタイプの女性。

基本的には山田さんがリードして、それについてくるような年下の女性が良いでしょう」当時の僕は、この分析結果を受けても特に感じるものはなく、占いのような一種の遊び感覚で右から左に受け流していた。

たまたま仕事の縁で婚活診断を受けただけであり、本気で婚活をしていたわけではなかったからだ。

また、「自分と同じ特性を持った女性が適している」と言われても、あまりピンとこなかった。

それは言わば僕と「似た女性」ということであり、そんな女性など世の中にそうそういないと高を括っていたのだ。

しかし、今になって驚いた。

この分析から数年後に、実際に僕が結婚した現在の妻の性格が、ここで書かれている結果と見事に一致しているのだ。

もちろん、僕がこの分析結果を参考にして婚活し、結婚に至ったわけではなく、完全な偶然の産物である。

あれからしばらくして出会った女性が、たまたま僕と同じような特性を持つ、言わば「似た者」だっただけである。

いやはや、これにはおおいに感心した。

現在の妻が自分にとって最適な女性であるかどうかは、結局のところ自分が決めることでしかないが、少なくとも現段階では彼女に対して特に不満があるわけではなく、結婚生活にも満足している。

そう考えると、この特性分析は見事に当たっていたとしか言いようがない。

恐るべし、結婚相談所である。

正直、これまでの僕は結婚相談所にあまり良いイメージを持っていなかった。

婚活に焦った人に向けた気休め的なものでしかないと思っていたところがあったのだが、これだけ的確に特性分析を当てられると、一気にイメージアップである。

男女の幸せな結婚とは、奇跡や運命だけで語られるものではなく、それぞれの特性分析という合理性に基づいて得られるものなのだ。