世界最大級の海底温泉・露天風呂ブルーラグーン (Photo:©Alt Invest Com)

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 世界的な株高と円安で幕を開けた2013年は、ひさしぶりに明るい雰囲気に包まれている。このままの勢いで経済は上向き、日本はゆたかさを取り戻すことができるだろうか? 「未来は誰も知ることができない」ということを前提に、今年がどんな年になるのか私見を述べてみたい。

ユーロ危機、報道と実態はかなり違った

 去年は6月にイギリス、アイスランド、アイルランド、ポルトガル、ギリシア、イタリア、ドイツを回った。そこで感じたのは、日本での報道と現地の雰囲気はかなり違う、ということだった。

[参考記事]
●金融バブル崩壊後のアイスランドが短期間で奇跡の復活を果たした理由
●ロンドン五輪の陰でオフショアのメッカ・マン島の想像以上の寂れ方に思う
●”ケルトの虎”アイルランドが国家的危機に頼ったのは「愛国心」だった
●失業率が深刻なポルトガルでは旧宗主国と植民地の関係が逆転していた
●エーゲ海の豊かな島・クレタ島でギリシアという「国」について考える
●“国家破産”の街ギリシア・アテネを旅して
●現代の”ゴモラ”ナポリの街角で見たイタリアの闇
●イタリア・シチリアの寂れた街とマルタの熱気
●書籍『死都ゴモラ』が明かす、南イタリアの途方もない秘密
●ロシア・サンクトペテルブルグに刻まれたエカテリーナ宮殿とロシア人ツアーガイドの歴史

 “ヘッジファンド国家”と化したアイスランドは市場原理主義が大失敗した格好の例として取り上げられるが、バブル崩壊後の通貨安の恩恵を受け、夏の観光シーズンにはヨーロッパ中からアウトドア派が押し寄せて観光地はどこも活況を呈していた。北海道よりも広い島にわずか30万人しか住んでいないから、バブルが派手にはじけても、すこし追い風が吹けばたちまち景気は回復するのだ。

[参考記事]
●金融バブル崩壊後のアイスランドが短期間で奇跡の復活を果たした理由

 不動産バブル崩壊で大打撃を受けIMFの支援下に入ったアイルランドも、週末のダブリンはパブの客が道路にあふれ出すほどの賑わいだった。住宅価格は最高値から半値で下げ止まり、国債金利も5%まで下がって、ようやく大不況から脱しつつあるようだ。

[参考記事]
●”ケルトの虎”アイルランドが国家的危機に頼ったのは「愛国心」だった

 北ヨーロッパに比べてポルトガルやイタリア(南部)、ギリシア(クレタ)の経済はたしかに厳しいが、だからといって、国民の総意によってユーロから離脱する、という雰囲気はなかった。ギリシア国内でもひとびとの利害が一致しているわけではなく、国民はEUから切り捨てられてしまえば自分たちが生きていけないことをよくわかっていた。

●失業率が深刻なポルトガルでは旧宗主国と植民地の関係が逆転していた
●エーゲ海の豊かな島・クレタ島でギリシアという「国」について考える
●“国家破産”の街ギリシア・アテネを旅して
●現代の”ゴモラ”ナポリの街角で見たイタリアの闇
●イタリア・シチリアの寂れた街とマルタの熱気

 その意味で、多くの専門家が予想したようなユーロ崩壊は起こらなかったし、ヨーロッパ経済は今年も、ゆたかな「北」と貧しい「南」の緊張を抱えながら低空飛行を続けることになるだろう。

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