人気の駅1位は餃子の街、宇都宮!

写真拡大

賃貸で人気の駅と聞いて、関東ならどこを思い浮かべるだろうか? 自由が丘や吉祥寺あたりが定番の回答ではないだろうか。

そう思っていたら、まったく見当違いだった。それもそのはず、そういう街はいわば住んでみたい憧れの場所。実際の人気とは少しズレがあるのだ。

先日、不動産住宅情報サイト「スマイティ」が、2012年によく検索された賃貸物件情報から、人気の駅ランキング(関東編)を発表。1位に輝いたのは、なんと宇都宮だった。栃木県の宇都宮。いわずと知れた餃子の街だ。

関東編ランキングの対象になっているのは、東京、神奈川、千葉、埼玉、栃木、群馬、茨城の1都6県。ランキングは同サイトに掲載している賃貸物件へのアクセス数を、各物件の最寄り駅別に集計してアクセスの多かった順に並べたものだという。ベスト10は1位から順に、宇都宮・吉祥寺・池袋・三鷹・荻窪・大宮・川崎・高田馬場・目黒・高円寺という結果だった。

参考までに10月に株式会社長谷工アーベストが発表した「住んでみたい街(駅)ランキング2012」(首都圏総合)のベスト5は、吉祥寺・自由が丘・横浜・鎌倉・たまプラーザの順。共通しているのは吉祥寺だけだ。
「今回弊社でおこなった調査は実際のアクセス数をベースにしているので、“実際に住める可能性のある街”という面を映し出している感じがしています。より現実的な選択肢なのでしょうね」
とはスマイティ広報担当者の弁。

だが、よりリアルなランキングだと思って眺めても、1位が宇都宮というのはちょっと不思議な感じがする。広報担当者も、
「私も宇都宮が1位なのには驚きました。誤った結果かと思って再度調べましたが、間違いはありませんでした」
1位の理由にはさまざまな要因が考えられるため、ハッキリと「これ!」とはいえない状況らしい。

実は宇都宮、2010年の同ランキングにおいて5位、2011年には2位と徐々に順位を上げてきた。たまたま今年だけ、というわけでもないのだ。
「宇都宮にはアーケード街“オリオン通り”を中心にさまざまな商業施設があることや、湘南新宿ラインの運行により宇都宮線の利便性が向上していることも寄与しているといえそうです」
また、今年は餃子日本一の座をめぐって宇都宮市と静岡県浜松市との攻防があったり、「街コン」の発祥の地としても注目を集めるなど、街の認知度が向上したことも要因かもしれないとのこと。

そのほかには、宇都宮の物件の登録数が他のエリアに比べて比較的多いというのも理由のひとつとして考えられる。たとえば、ベスト3のエリアの件数を調べてみると、宇都宮10,582件、吉祥寺7,919件、池袋4,987件(※件数は2012/12/15調査時点)。「登録物件の多さ」イコール「人気」とは言い切れないが、多いことはたしか。ちなみにこれ、スマイティに限ったことではなく、他の不動産検索サイトでも宇都宮の物件が多い傾向があった。都内に比べると駅と駅の間隔も長く、自然と物件数も多くなるのだろう。

最後に宇都宮駅以外も見ておこう。トップ10のうち4駅は中央線沿線の駅が占めているが、これはオフィス街や商業スポットの多い新宿駅や東京駅に直通で行ける、生活環境の整った街が多いことが魅力になっていると考えられる。また、都心と郊外の中間にあるターミナル駅への注目も高く、池袋・大宮・高田馬場のように埼玉県内と都心部をつなぐ場所、川崎のように都心と神奈川をつなぐ場所が人気を集めたようだ。

住みたい街と住める街にギャップがあるのは当然。理想とする生活環境と生活コストのバランスを考えたとき、「宇都宮」を候補として浮かべる人が多いのかもしれない。
(古屋江美子)