大きな木の下で眠る、という選択……。

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死後のこと、考えた事はあるだろうか。

自分はもちろん、家族、配偶者。どんな相手であろうと“死後”についてはあまり考えたくない。
しかし、人間は必ず死ぬ。
その後は墓地に収まることになるが、家族のお墓の中はもう満杯。新たに誰かが入るときには拡大しなくてはならない、建てようとしても良い場所がない、工事費から管理費まで意外にかかってしまう……なんて悩みも多いお墓事情。
そんな中、注目されている墓地がある。それが、“樹林墓地”である。

樹林墓地とはその言葉とおり、樹木を墓石に見立てた墓地のこと。
実際に樹林墓地を実施、話題になっている東京都公園協会さんにお話を伺ってみた。

樹林墓地がある場所は8つある都立霊園のうちのひとつ、東京都小平霊園内。
樹林墓地に植えられているのはコブシ、ヤマボウシ、ナツツバキ、ネムノキ、イロハモミジ。その地下に共同埋蔵施設を用意。直接土にふれる形で埋葬するのだ。
死後、自然に還りたいという声に応えて作られた墓地である。
生前申し込みも可能で、亡くなったあと遺族から骨を受け取りスタッフが埋葬をしてくれる。
共同埋葬になるものの、樹林墓地には献花台が用意されていて、お参りはいつでも自由。仏教、キリスト教など宗派も問わない。

この樹林墓地、今年7月に500体を募集し始めたところ予想以上の申し込みがあったとか。
気になる料金だが、遺骨:1体 134,000円、粉状遺骨:1体 44,000円。
以降は管理料はかからず、これだけの料金で埋葬することができるのも魅力的。

実際まだ空きがあるのか伺うと、また来年10,700体の募集をかけるそう。
さらに個々人で埋葬のできる樹木墓地も、少し先ではあるが予定されているとか。

家はマンションでも、お墓くらいは戸建てがいいという声もある。まとめて埋葬するのもされるのも嫌だ、と抵抗ある人も多いだろう。
しかしお墓を継がない人が増えてくるなど、時代はどんどん変化している。
遠くの墓地に埋葬されて年に一度お参りされるなら、近くに埋葬される方がいい。なんて意見もある。
それに墓地といえば薄暗いイメージがあったが、これならお散歩ついでに立ち寄れてお参りする側もラクチン。

なにより木の下で眠り、自然に還っていく感覚は新しい。こんな新しい墓地の形、これから流行っていくかもしれません。
(のなかなおみ)