名前などの個人情報を、自動で黒く塗りつぶしてくれる。

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ある日、入手が困難なCDが欲しくなり、某インターネットオークションを利用して以来のこと。止まらなくなったのだ、妙なスパムメールが。明らかに、個人情報が流出している。
何がどうなってこんな事態になったのかは分からないけど、色々と気を付けなければいけない世の中だと痛感しました……。

ところで。個人情報を漏えいさせないため、非常に斬新な技術が開発されているそうなんです。「東京大学 知の構造化センター荒牧研究室」が開発したのは、その名も『匿名化コピー』。
例えば、文面の中に「名前」や「住所」など個人を特定できる情報が記載されていた場合。この技術を活用すると、その個人情報部分だけを抜き出し、自動で黒く塗りつぶしてくれるというのだ。

使い方は、あまりにも簡単。スキャナーにセットすると、パソコンが個人を特定する情報だけを自動で抜き出してくれる。
ちなみに、その「個人を特定する情報」を判断する基準は以下の2点。
・登録した固有名詞
・文章中で一度しか出ないもの
しっかり、そこだけを黒く塗りつぶしてくれるらしい。

これ、凄く良くないですか? 広く、世に普及してもらいたい。そして、この技術が開発されたきっかけについて。どうやら、確固たる目的があったみたいです。
「医療分野では “de-identification”といって、文章の匿名化を行う研究が非常に盛んです。この技術を分かりやすく伝えたいと思い、開発しました」(「東京大学 知の構造化センター荒牧研究室」荒牧博士)
病気の研究をするとき、医師の間で情報交換が行われる。その際、患者の個人情報は削除されるべき。病気の情報だけでやり取りするのが好ましいだろう。だからこそ、この新技術は画期的なのだ。

そんな『匿名化コピー』は、すでに一般の企業からも注目されている。
「商品化についての具体的な時期は分かりませんが、現時点で数社からのお問い合わせを受けております。技術的には難しい商品ではありませんので、具体的な用途が決まれば単位期間で商品化可能だと思います」(荒牧博士)
現在は、コンピューターソフトウエアのメーカーやコピー会社と商品化についての研究が進められているとのこと。スキャナーと一体化した形以外に、プリンタ・ドライバーとしての実装も考えられているようだ。

この新しく安全な匿名化方法、広く世に普及されるといいなぁ……と、思いましたよ! 個人情報なんて、我々にとってあまりにも身近な問題です。
(寺西ジャジューカ)