レモンたっぷり! レモン鍋

写真拡大 (全3枚)

寒くなると、食べたくなるのが鍋。最近はユニークなスタイルの鍋もあれこれ生まれているが、今年は「レモン鍋」が話題になっている。都内にはレモン鍋を提供する店が登場し、テレビなどでもレモン鍋が特集されているから、気になっている人もいるのでは?

レモンといえば、ドレッシングに使われたり、から揚げに添えられていたり、どちらかといえば料理の世界ではわき役のイメージ。そのレモンがなぜ、鍋の主役に躍り出たのだろうか?

理由のひとつは、国産レモンは今が旬だから。そう聞くと、意外に思う人も多いかもしれない。それもそのはず、現在、国内で流通しているレモンの9割は海外からの輸入品。さらに国産レモンも技術の進歩によって1年中出荷されているが、実は露地物の旬は秋から冬にかけてなのだ。

国内レモンの生産量はここ数年で急増しており、国内シェアの約6割は広島産。広島産のレモンは通称「瀬戸内 広島レモン」とよばれ、10〜12月ごろは果皮が緑色で珍しい「グリーンレモン」、1〜3月ごろは果皮が黄色い「イエローレモン」の収穫時期にあたる。

レモンには、ビタミンCやレモンポリフェノールなど栄養が多いので、昨今のヘルシー志向にもマッチするのだろう。ただし、レモンの栄養素が多いのは果肉(果汁)よりもむしろ皮。これまで皮は捨てるものだと思っていた人も多いのでは?

たしかに輸入レモンには基本的に防カビ剤が使われているので、皮まで食べるにはふさわしくないが、国産レモンなら皮まで食べても安心。実際、広島のレモン農家の方はレモンを皮ごと食べており、鍋だけでなく、「レモンとサーモンのマリネ」「サツマイモのレモン煮」「鶏肉のレモン煮」「レモンパイ」など、実にアイディア豊かに使っている。ちなみに広島には防カビ剤を使わないうえ、化学合成農薬や化学合成肥料を通常の5割減で栽培した「エコレモン」もある。

そんな話題のレモン鍋、実際どんな味なのか家で作ってみることに。今回は都内でレモン鍋を提供している鍋料理専門店「海ぶん鍋ぶん」(東京・浜松町)の「イベリコ豚と白菜 瀬戸内 広島レモンのミルフィーユ鍋」を家庭用にアレンジしたメニューを教えてもらった。

白菜と豚ロースなどを入れた鍋にレモンの果汁をたっぷり絞り、スープ入れて火にかける。湯気が立ち上ってくる頃には、辺りにレモン独特のさわやかな香りが広がり、食べる前から口の中がレモンでいっぱいな感じ。さらに食べる直前にレモンの輪切りものせれば、レモンがこれでもかと前面に出たレモン鍋が完成。

さっそく食べてみると、スープの味は意外なほどにマイルド。てっきり顔をしかめるような刺激があるかと思いきや、とがった酸味はなく爽やかな口当たり。輪切りのレモンも適度に酸味が抑えられていて食べやすい。話題性だけかと思いきや、意外にアリだね、というのが我が家の感想。ただし、輪切りレモンを入れっぱなしにしておくと、最後にはスープがとんでもなく酸っぱくなってしまうので、その点はご注意を。

参考までに教えてもらったレモン鍋のレシピを紹介しておこう。

■レシピ/家庭用にアレンジした「イベリコ豚と白菜 瀬戸内 広島レモンのミルフィーユ鍋」
<材料>(※2人分)
【スープ】
和風だし……2.5カップ
みりん……大さじ1と1/2
うす口しょう油……大さじ1と1/2
【具材】
白菜……1/8カット
豚ロース(お店ではイベリコ豚を使用)……100g
大根……1/8カット
長ネギ……1本
エノキ……1/2パック
ベーコン……20g
瀬戸内 広島レモン……2個
水菜……1束

<下準備>
1.白菜の葉1枚を縦に半分に切る。
2.レモン1個は皮を剥いて輪切りにし、残りの1個は半分に切っておく。
3.大根1/8カット分をすりおろしておく。

<鍋の作り方>
1.白菜に豚肉2枚を乗せ、同じものを交互に5枚ほど重ねて、食べやすい大きさに切る。
2.1.の切った断面が見えるように、鍋に放射状に並べていく。
3.2.の上に大根おろし、長ネギ、エノキ、ベーコンを入れ、最後に牛脂(お店では鴨油を使用)を乗せ、上から1個分のレモン果汁をかけ、火にかける。
4.食べる直前に水菜、皮を剥いたレモンの輪切り、レモンの皮をのせて完成。

ちなみに私は今回、国産レモンを使ったので、皮ごと入れて食べてみた。具材などは上記をベースにしつつ、適宜アレンジしてみてもよいだろう。話題のレモン鍋、気になった方は試してみては。
(古屋江美子)