iPod/iPad/iPhoneで使える高感度放射線センサー『Pocket Geiger Type4』(radiation-watch.org、リンクス販売)。

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昨年の福島第一原発の事故以来、一般の人たちによる放射能測定の関心が高まっている。そこでさまざまなタイプの放射線測定装置が出回ったわけだが、その中で比較的安価で高精度の測定器『Pocket Geiger』がある。その最新版が出たので紹介する。

『Pocket Geiger Type4』(radiation-watch.org)は、iPod/iPad/iPhoneで使える高感度放射線センサーで、専用のアプリケーションソフトをダウンロードしてあとは3.5mmミニジャックケーブルで本体を接続するれば準備オッケーだ。最大の特徴は約2分の短い測定時間で高価な測定器と遜色のない精度を実現したこと。端末を持ち歩きながら、簡単に身近な地域での放射能が測定できるのは小さい子供を持つ家族にとってはとくに魅力だろう。

実際、Pocket Geigerシリーズについての評判、反響はどうか。非営利プロジェクトRadiation-watchと販売代理店契約を締結したリンクスインターナショナルさんに聞いた。
「Facebookグループを見てもらうのが良いかと思います。2000人弱くらいの参加者がいるのですが、ユーザーさん(一般市民)が自主的に測定をしてみんなで線量をシェアしています。また、グループには放射線防護の専門家もいて、除染や放射線の知識について情報交換がされています。私たちは最初、線量計を売るのが目的だと思っていたのですが、今ではこのような自律的なコミュニティを育てるという役割があるのだと感じています」
「ポケガ工作部のような自主コミュニティも育っています。本業はそうそうたる技術者の方々で、ボランタリーベースでポケットガイガーの改良をしています。これらの内容は、ポケットガイガー2、3、4、5という進化に役立っています。まさに、インターネットコミュニティによって育てられたプロダクトです」

ところで今回、従来機の20分から約2分に大幅に測定時間を短縮したが、測定の精度は改善したのか。
「精度という意味では変わりません。ポケットガイガーでは、十分な時間をかけて測定すれば、価格が100倍以上の線量計と比べても遜色のない高精度な結果を得ることができます。そのための測定時間が、20分から約2分に短縮されたことになります」
では、その他従来機にない特徴やサービスなどはあるのか。
「やはり、スマートフォンのGPSを使って線量を共有できることではないでしょうか。これは5月から始めたサービスで、iPhoneのPro版アプリ(600円)で利用できます」

放射線量を自分たちで測定し、それらをみんなでシェアする時代になった。これからも、もっともっと輪を広げていってもらいたい。
(羽石竜示)