これが噂の『痛印』。萌えるね。

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“痛車”って御存知ですよね? ウィキペディアには、こう書いてある。
「車体に漫画・アニメやゲームなどに関連するキャラクターやメーカーのロゴを型どったステッカーを貼り付けたり、塗装を行うなどして装飾した自動車や、あるいはそのような改造のこと」
も一つついでに、こんな記述まで。
「『見ていて痛々しい車』という意味が込められた俗語であり、恥ずべき行いを『痛い』と表現する俗語に由来するものである」

そうですか、痛いですか。……気を抜いてられない。実は今、“痛い印鑑”が話題になっているらしい。皆さん、『痛印』(いたいん)って御存知ですか? 
「日本全国に数多く印鑑屋はありますが、『萌イラストに特化した印鑑屋が1件ぐらいあってもいいだろう!』と、“痛い印鑑屋”のサービス『痛印』を起ち上げました」
と語るのは、このサービスを手がける「痛印堂」の中川店長。

同店が掲げる『痛印』の定義のハードルは、かなり高い。何しろ、ゴム印やシャチハタの印鑑は認めていないというのだから。
「実印や認印などで使われる印材から、お客さまのイラストを基に一本一本、オーダーメイドで印鑑を制作いたします」(中川店長)
従来の印鑑には、言うまでもなく名前だけが彫られる。一方、この『痛印』はお客さんが本当に欲しいオリジナルの印鑑を形にしてみせる。

そして注目したいのは、その実用性について。絵が入っているとはいえ、印鑑なことに変わりはない。だからこそ、同店は「普通の印鑑と同じく、判を押す場面で実用品として使いたい!」という志を持っているようだ。『痛印』の特色の一つである。
しかも、その実用性は実際に証明されている。銀行で口座が開設できるのか? 宅配便で登録印として認められるのか? 市役所でも使用できるのか? わざわざ各機関で使用を試み、その結果は同店のホームページ(http://www.itaindou.com/jisseki.php)上にて発表済みだそう。
じゃあ早速、使用結果を確認してみましょうか。……なるほど。銀行や宅配便との相性は良さそうだけど、役所での理解は現時点では得られにくいみたいですね……。

では、どんなデザインが「使用可」と認められやすいのでしょうか?
「当店が所在を置く越谷市近辺の各銀行に回り、担当者に痛印を見せて登録できるか確認を求めたのですが、そこでは『シャチハタやゴム印などは銀行印として登録できませんが、朱肉を使った規定サイズの印鑑であればイラストがあっても銀行印として登録できます』といった回答をいただいております」(中川店長)
事実、中川さんは大手メガバンクの銀行口座開設を『痛印』によって成し遂げているというのだから、その説得力は本物だ。

では、『痛印』オーダーの流れについて。
「ご注文フォームよりご提出していただきましたイラストを拝見し、痛印として彫れるかどうかスタッフがチェックをいたします。痛印に適さないイラストをそのまま彫ってしまうと欠けてしまう恐れがあり、結果的にお客様の損失になります。お客様のリスクを回避するために、イラストに関して的確なアドバイスや修正提案をし、お客様からOKのご連絡をいただいてから彫刻を始めます」(中川店長)
中にはカラーイラストのままオーダーが届き、『痛印』用のイラストに修正できる環境が整っていないケースもあるという。そんなお客さんに対しては、同店が無償で編集・加工サービスも行っているそうだ。

そして、もう一つ。『痛印』では、著作権物及び二次創作関連の扱いについて曖昧にしていない。昨今、同人業界では著作権上問題と思われる二次創作物について「著作権者の黙認」という形で決着を付けてしまう傾向にあったが……。
「当店では一次創作と二次創作に明確な線引きを行い、オーダーメイドの印鑑制作は著作権上問題のない一次創作物に限ることにしました」(中川店長)
もちろん「一次創作者の公認」を以って倫理的にも正しい方法であれば、『痛印』に落としこむことに何ら問題はないだろう。しかし、全ての二次創作イラストを一次創作者に確認することはできない。
そこで痛印堂では以下の手順を踏まえ、二次創作の『痛印』化を目指している。
1.『痛印』化を希望するオーダー主の二次創作のイラストに関する調査を行う
2.ある定数まで集まったキャラクターから、一次創作者に『痛印』の取り組みを説明
3.「一次創作者の公認」が得られれば、一次創作者との契約を以って二次創作の『痛印』化に取り組む
「お客様からいただいたイラストから印鑑を作るだけでしたら、どこのはんこ屋さんでもできるかと思います。イラストを印鑑にして御渡しするだけでなく、そこに至るまでの過程をオーダーメイドでご提供できるサービスを我々は目指しております」(中川店長)

そんな、苦労と手間を惜しまずに形となる『痛印』。当然、反響も上々の模様。
「『出来上がりが精巧で素晴らしい』、『まつげや鼻など細かい部分も再現されていてすごい』、『子供たちの二分の一成年式(10歳)の記念に作ってあげたい』といった声が届いております」(中川店長)
また『痛印』はワールドワイドで注目を浴びているようで、海外から「痛印を海外で販売してください!」と外国語による問い合わせも届いているとのこと。

いやはや。その手間とキメの細かさを見ると、『痛印』と言いつつも、ちっとも痛くないですよ! 自身のイラストが基になるんだから、紛れもなくオンリーワンの印鑑が手に入ります。
(寺西ジャジューカ)