豆苗の新しい食べ方、探ってみませんか?

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カルピスや永谷園、キッコーマンの豆乳、おかめ納豆などなど、近年は、「企業レシピ本」が多数刊行されている。
そんななか、野菜業界の企業レシピ本が10月末に登場した。『村上農園社員がためして納得!! 豆苗レシピ』だ。

シャキシャキした食感と、えぐみのなさを生かし、主菜、副菜、鍋・汁もの、ご飯・麺類、酒の肴の全50種が紹介されているが、単にレシピのアイディアを収録した本じゃない。

面白いのは、レシピ編に入る前のマニアックな「検証編」。
たとえば、以下のようなこまか〜いテーマを徹底的に社員たちが「検証」しているのだ。

○冷蔵庫と野菜室、温度、置き方、根をカットするかどうかなど、最適な保存方法は?
○どの位置で切るのが、再生栽培にベスト?
○何回収穫できる?
○ゆでる、炒める、レンジでチン、それぞれのベストタイムは何秒?
○漬けたら? スムージーにしたら? スープにしたら?
○加熱+調味料57種で、どれが合う?
○豆苗+カップ麺選手権

まさに「豆苗コネタ」の世界!
実は「豆苗研究会」が発足した理由も、こうしたお客様からの数々の問い合わせを受けたことで「みんなに呼びかけて豆苗の切り方からおいしい食べ方まで徹底的に検証してみよう」ということだったとか。

細かく深い検証の数々には、「豆苗愛」がいっぱい詰まっているが、広報担当者は当時のことを次のように話す。
「特に気合いを入れて検証を進めている時期などは、ほんとうに毎食毎日食べていました。集中して食べすぎて、豆苗がないところでも『なんか豆苗の香りがする』と幻聴ならぬ幻香を訴える者や、『しばらく豆苗見たくない……』と1週間ほど戦線離脱する社員もいたほどでした」

本づくりで一番苦労した点は、マニアックな豆苗情報をどうやってお客様にお伝えするかというところだったそう。
「例えば、豆苗の再生栽培のコツについてでいうと、検証メンバーは大学で農学を学び、今も当社で栽培を担当する、いわば植物マニア。検証の際には『豆苗の再生栽培のメカニズムはどうなっているのか』『再生栽培に必要な要素は何か』といったところから始まり、気が付くと、かなりマニアックな検証結果になりましたが、本として紹介するにあたっては、一般のお客様の興味に今一度立ち返って、わかりやすく伝えることに気を使いました」

レシピは、実際に社員からレシピを集め、検証結果とも照らし合わせながら、美味しくて家庭でつくりやすいレシピを選んでいったものばかり。
「本当にレシピが簡単なものばかりで、『こんなに簡単なレシピでいいのか?』と途中不安に思うほどでした。でも、やはり豆苗自体が火の通りも早く、クセがないので下ゆでなども必要なく、調理が手軽な野菜ですので、『レシピが簡単なのは必然』とある意味開き直り、本当におすすめできる、豆苗ならではのレシピを選んでいきました」

「豆苗=中華炒め」のイメージしかない人は、数々の検証の結果、選ばれた豆苗の可能性をのぞいてみては?
(田幸和歌子)