亀有は“亀梨”だった? 東京の地名の由来

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 銀座、永田町、六本木、三軒茶屋、田園調布…。よく見かける東京の地名。その地名がどうして付けられたのか、以前は何がそこで起きていたのか、その土地の歴史を辿っていくと、地名の由来が見えてくるものだ。

 『まるごと一冊!東京の地名の由来』(ユーキャン東京の地名の由来研究会/著・編集、浅井建爾/監修、自由国民社/刊)では、東京都全62市区町村の主な地名の由来を解説。また、隠れた名所や地理、地名にまつわるコラムも紹介している。
 東京は珍しい地名の宝庫であると監修者の浅井氏は語る。その地名の由来を探っていくと面白い発見があるものだ。では、本書で取りあげられている地名の由来をいくつか紹介したい。

■銀座
 海外のブランドショップが立ち並ぶ、日本最大の繁華街「銀座」。その地名は、江戸初期に幕府が鋳造する「銀座役所」を駿府(静岡)からこの地(当時の名前は新両替町)に移転したことに由来する。江戸後期に発生した銀貨をめぐる不正事件の影響で、銀座役所は日本橋の蛎殻(かきがら)町に移転したが、呼び名はそのまま定着した。そして明治2年、新両替町に代わり「銀座」が正式な町名となり、今日に至っている。

■秋葉原
 電気街やサブカルチャーの発信地として、海外まで広く知れ渡っている「秋葉原」だが、この町名は「火事」と深く関わっているという。
 江戸時代、この地域には新炭や材木を扱う店が多く、幾度も大火事の火元となってきた。そして明治2年の大火の際に、東京府はここを防火用の空地とし、鎮火のために神社を設置したのだが、この神様が秋葉大権現を祀っているとされたため「秋葉の原」と呼ばれ、それが由来となった。現在の「あきはばら」という読み方が定着したのは、昭和7年に国鉄の駅ができた頃からで、それまでは「あきばはら」などと呼ばれていたという。

■亀有
 マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の舞台としてお馴染みの亀有だが、実は元々、「かめなし」(亀梨、亀無)という地名だった。これは土地が「亀」の形を「なし」ていたことによるもので、正保元年(1645年)に江戸幕府が国図を作成するときに、地元側から「なし」では縁起が悪いという声があがり、「亀有」にしたといわれている。
 
 自分の住んでいる地域や職場や学校、旅行で訪れた場所…それぞれの地域に何かしらの地名の由来があるものだ。
 ただ、地名の由来を知って納得して終わるのではもったいない。本書では掲載されていない地域の地名の由来を自分で調べてみるのも面白い。そして、自分の足で、その場に行ってみれば、新しい発見もできるかもしれない。
(新刊JP編集部)